院長の澤木秀明が医師向けに運動療法に関する講演を行いました

院長の澤木秀明です。
令和8年9月9日(水)にWebを利用したオンライン配信の形で、院長の澤木秀明が講演を行いました。

「かかりつけ医での2型糖尿病治療の実践のための工夫」というテーマでお話しする機会をいただきました。

座長は、運動療法がご専門の順天堂大学・田村好史教授にお務めいただきました。

当院は、実は、以前より、田村教授に運動療法についてご指導いただきながら、日々の診療を行っています。今日は、講演の中で糖尿病運動療法に関して、お伝えした内容の一部を、患者さん向けにご紹介したいと思います。

運動は、血糖にどのくらい効果があるのか

「運動が体にいいのは分かっているけれど、実際どのくらい効果があるの?」と思われる方も多いと思います。国際的な糖尿病診療ガイドライン(ADA Standards of Care 2026)では、次のようなことが示されています。

  • 8週間以上、運動を続けると、体重が減らなくてもHbA1cが下がる(平均で約0.66%)
  • 有酸素運動と筋トレを両方行うと、どちらか一方だけより血糖改善効果が大きい
  • 1日にたった500歩多く歩くだけでも、心血管疾患や総死亡のリスクが2〜9%低下する
  • 運動量は少なくても、ゼロよりは「少し」の方に価値がある

「たくさん運動しなければ意味がない」わけではなく、少しの積み重ねにもきちんと意味があるということが、データとして示されています。

いきなり「週150分」を目指さなくて大丈夫です

ガイドラインには「週150分以上の有酸素運動」といった目安が示されていますが、これを最初から目指す必要はありません。当院で大切にしているのは、次のような進め方です。

  • まず今の状態を聞く:普段どのくらい体を動かしているか、座っている時間はどのくらいかを一緒に確認します
  • 段階的な目標にする:まずは10分の歩行から。「1日30分・週5日」はあくまで最終的な目標です
  • 「運動」の枠を広げて考える:散歩、家事、庭仕事、水泳、ダンス、ヨガ——好きなことや生活の中にあるものも、すべて立派な運動です

また、2日以上空けないことを目安にしつつ、計画は体調やご都合に合わせて変えていただいて構いません。無理に毎日でなくても大丈夫です。

澤木院長
澤木院長

診察の際も「今より500歩多く歩くだけでも、心臓や寿命に良い影響がありますよ」「体重が減らなくても、運動そのものでHbA1cは下がりますよ」とお伝えすることがあります。運動じゃなくても、掃除や庭仕事でも十分なんです。

カーブスの会員さんを追跡した研究から分かったこと

運動の「継続」が糖尿病予防にどう関わるかを示す、興味深い研究をご紹介します。女性専用フィットネスのカーブス会員10,680名を対象に、約5年間追跡した研究です。

この研究では、登録時に糖尿病のなかった方を、施設に通った回数(運動の頻度)によって4つのグループに分けて比較しました。全員が同じ内容・同じ時間の運動を行っていたため、「運動の回数」だけの違いによる効果を見ることができる、貴重なデータです。

  • もっとも運動回数が多かったグループは、もっとも少なかったグループに比べて、糖尿病の発症リスクが39%低いという結果でした
  • 月4回、通う回数が増えるごとに、リスクが16%ずつ低下する傾向もみられました

この研究はカーブスの会員データを使ったもので、因果関係を証明するものではありませんし、対象は女性のみという限界もあります。それでも、「月4回でも増やせば意味がある」という、日々の診療で患者さんにお伝えしやすいメッセージが得られる研究だと感じています。

参考文献:Sawada SS, et al. Combined aerobic and resistance training, and incidence of diabetes: A retrospective cohort study in Japanese older women. J Diabetes Investig 2019;10:997-1003.

スタッフも一緒に学んでいます

当院では、患者さんに運動をおすすめするだけでなく、スタッフ自身も学ぶ機会を持つようにしています。以前、7秒スクワットで知られる松井浩先生をお招きし、スタッフ向けのスクワット講習会を開催したこともあります。

診察室でお伝えする内容は、私たちスタッフ自身も実際に体を動かしながら学んだものです。

運動のことも、どうぞお気軽にご相談ください

「運動しなければいけないのは分かっているけれど、何から始めればいいか分からない」——そう感じていらっしゃる方は、決して少なくありません。当院では、今の生活の中でできることから一緒に考えていきますので、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

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