こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。
このたび、当院の患者さんにもご協力いただいた
糖尿病と睡眠に関する前向き臨床研究が、
Journal of Diabetes Science and Technologyに掲載されました。
まず何よりも、本研究にご協力くださった患者さんに、心より御礼申し上げます。
日々の診療に加えて、研究への参加には、検査や記録、説明へのご理解など、多くのご協力が必要でした。
皆さまのお力添えがあったからこそ、糖尿病診療に関する新しい知見を、ひとつの形として世の中に届けることができました。
今回の研究は、糖尿病治療において「睡眠」という生活の大切な要素に注目したものです。
血糖値は、食事や薬だけでなく、睡眠、ストレス、仕事、生活リズムなどの影響も受けます。
当院では、こうした患者さんの生活全体を見ながら、糖尿病治療を一緒に考えていくことを大切にしています。

糖尿病治療において「睡眠」は大切なテーマです
糖尿病治療というと、食事療法、運動療法、薬物療法、インスリン治療、CGM、インスリンポンプなどが注目されやすいです。
もちろん、これらはとても大切です。
一方で、実際の診療では、血糖値は食事や薬だけで決まるわけではありません。
睡眠不足、ストレス、仕事の時間、夜勤、生活リズム、家庭環境なども、血糖コントロールに影響することがあります。
今回の研究は、そうした日常生活の中でも特に「睡眠」に注目したものです。
研究では、睡眠時間が6時間以下の2型糖尿病患者さん70名を対象に、
アクチグラフ(体の動きから睡眠時間を推定する腕時計型の測定機器)と
睡眠日誌で睡眠時間を測定し、
介入群では就寝時刻を早めるための目標設定や
フィードバックを行いました。
主要評価項目は、12週間後のHbA1cの変化でした。
研究結果について
今回の研究では、介入によって睡眠時間は有意に延長しました。
| 対象 | 睡眠時間が6時間以下の2型糖尿病患者さん70名 |
|---|---|
| 方法 | アクチグラフ(体の動きから睡眠時間を推定する腕時計型の測定機器)と睡眠日誌で睡眠時間を測定し、介入群では就寝時刻を早める支援を実施 |
| 期間 | 12週間 |
| 睡眠時間 | 介入群では、対照群と比べて平均32.8分延長 |
| HbA1c | 12週間では有意な改善は認められませんでした |
この結果は、「睡眠は糖尿病に関係ない」という意味ではありません。
むしろ、糖尿病診療において睡眠や生活リズムをどのように支援すればよいのか、
今後さらに検討していく必要があることを示していると考えています。
研究は、患者さんと医療者が一緒に未来の医療をつくる取り組みです
臨床研究は、医療者だけで完結するものではありません。
患者さんが日々の生活の中で協力してくださり、研究スタッフが丁寧にデータを集め、専門家が解析し、学術誌で評価されることで、ようやく一つの知見として世の中に届けられます。
今回の研究にご参加くださった患者さんには、改めて深く感謝申し上げます。
皆さまのご協力は、将来の糖尿病診療をよりよくするための大切な一歩です。
東京大学・脇嘉代先生への感謝
本研究にあたり、東京大学大学院医学系研究科の脇嘉代先生には、何度も当院まで足を運んでいただき、研究の進め方や患者さんへの説明、臨床現場での運用について、丁寧にご指導いただきました。
糖尿病診療の現場で働く私たちにとって、大学の先生方と連携しながら、日常診療の中で生まれる疑問を臨床研究につなげていく経験は、大変貴重なものでした。
この場をお借りして、脇嘉代先生をはじめ、研究に関わってくださった先生方、研究スタッフの皆さまに、心より御礼申し上げます。
澤木内科・糖尿病クリニックが大切にしていること
糖尿病治療では、HbA1cだけを見ればよいわけではありません。
- 低血糖がないか
- 食後高血糖が隠れていないか
- 夜間の血糖変動はどうか
- 仕事や学校生活に無理がないか
- 睡眠やストレスはどうか
- インスリン治療やCGM、インスリンポンプを生活にどう合わせるか
当院では、糖尿病専門クリニックとして、日々の血糖コントロールだけでなく、患者さんの生活全体を見ながら診療することを大切にしています。
特に当院では、2型糖尿病だけでなく、1型糖尿病、インスリン治療、CGM、フリースタイルリブレ2、Dexcom G7、インスリンポンプ、ミニメド780Gなどを活用した診療にも力を入れています。
糖尿病治療で悩んでおられる方、現在の治療で血糖コントロールが難しい方、低血糖や血糖変動で困っておられる方に対して、できるだけ丁寧に、専門的な視点から一緒に治療を考えていきたいと思っています。
これからも、診療と学びを続けてまいります
今回の論文掲載は、当院にとって大変ありがたい経験となりました。
一方で、研究結果からもわかるように、糖尿病治療にはまだまだ解明すべきことが多くあります。
睡眠を延ばすことが、どのような患者さんに、どの程度、どのような形で役立つのか。
デジタル技術を、糖尿病診療にどのように活かすべきか。
患者さんの生活に無理なく続けられる支援とは何か。
こうした問いに向き合いながら、これからも日々の診療を大切にしていきたいと思います。
ご協力いただいた患者さん、研究に関わってくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。
澤木内科・糖尿病クリニックは、これからも糖尿病患者さんのよりよい治療と生活を支えるため、診療・教育・臨床研究に真摯に取り組んでまいります。
論文情報
Digital Intervention Increasing Sleep Duration Among People With Type 2 Diabetes: Pilot Randomized Controlled Trial
Journal of Diabetes Science and Technology. OnlineFirst.
First published online: May 6, 2026.
DOI: 10.1177/19322968261445108.

