こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。
2026年6月6日、関西テレビの情報番組「ドっとコネクト」に出演し、近年話題となっているマンジャロ/ゼップバウンドについて、糖尿病専門医の立場からお話ししました。
放送前には、当院ホームページでも出演予定についてご案内しておりましたが、無事に出演を終えることができました。
今回、番組で取り上げられたのは、いわゆる「やせ薬」として話題になっている注射薬の安易な使用や、SNSなどでの不適切な入手についてです。
マンジャロやゼップバウンドは、正しく使えば、2型糖尿病や肥満症の治療において重要な選択肢となる薬です。
一方で、医学的な診察や検査を十分に受けないまま、自己判断で使う薬ではありません。
薬の効果だけが注目される一方で、
「本当にその方に必要なのか」
「副作用のリスクはどうか」
「栄養状態や筋肉量は大丈夫か」
「血糖値、腎機能、肝機能、膵臓、胆のうなどの確認はできているか」
「食事・運動療法も一緒に続けられているか」
といった点を、医師が慎重に確認する必要があります。
今回の出演では、短い時間ではありましたが、視聴者の皆さまに、
「話題の薬だから使う」のではなく、
「必要な方が、適切な医療のもとで安全に使う」
ということをお伝えしたいと思って臨みました。

関西テレビに到着しました。糖尿病専門医として、正確でわかりやすい情報をお伝えできるよう準備して臨みました。
■ 関西テレビに到着しました
当日は、関西テレビに到着した時点から少し緊張していました。
テレビ出演は、普段の診療とはまた違った緊張感があります。
外来では、患者さん一人ひとりのお話を伺いながら説明できます。
しかし、テレビでは限られた時間の中で、多くの方に誤解なく伝える必要があります。
「短い言葉で、できるだけ正確に」
「怖がらせすぎず、でも安易な使用の危険性はきちんと伝える」
「糖尿病や肥満症で本当に治療が必要な方が、安心して医療につながれるようにする」
そのようなことを考えながら、収録ではなく生放送の現場に向かいました。

番組出演前に、関西テレビ内で撮影しました。普段の診療とは違う環境でしたが、医療者として大切なことを伝える気持ちは同じです。
■ 控室での準備
番組出演前には、控室で質問内容や伝え方を確認しました。
今回のテーマは、非常にデリケートです。
マンジャロは2型糖尿病の治療薬です。
ゼップバウンドは肥満症の治療薬です。
どちらも有効成分はチルゼパチドですが、適応となる病気や使い方には違いがあります。
一方で、SNSなどでは「簡単にやせる薬」のように見えてしまう情報もあります。
番組側からは、次のような質問が想定されていました。
・SNSなどで普通に販売されている状況は大丈夫なのか
・ネット診療などで簡単に買えることをどう考えるか
・医学的にやせる必要がない方が使うことのリスク
・マンジャロの正しい入手方法
・効果や副作用
・リバウンドへの考え方
・本来必要な糖尿病患者さんに薬が行き渡らなくなる可能性
これらの質問に対して、糖尿病専門医として、できるだけ誤解のない表現でお答えする準備をしました。

控室前で撮影しました。出演前には、想定される質問に対して、医学的に正確で伝わりやすい言葉を整理しました。

控室で待機しておりました。リハーサルで、最終確認を行いました。
限られた時間の中で、患者さんや視聴者の方に役立つ情報を届けることを意識しました。
■ 番組でお伝えしたかったこと
番組では、マンジャロやゼップバウンドの使用が広がる中で、
特に注意していただきたい点についてお話ししました。
まず、SNSなどで普通に販売されているように見える状況については、決して大丈夫とはいえません。
医療用医薬品は、診察を受け、医師が必要性を判断し、用法・用量を守って使用するものです。
個人売買や、診察・検査が不十分なままの入手は、健康被害につながるおそれがあります。
また、ネット診療そのものが悪いということではありません。
しかし、血液検査や体重、既往歴、合併症、現在の薬、栄養状態などを十分に確認しないまま薬が処方されているとすれば、非常に心配です。
本来、医学的にやせる必要がない方に、希望だけで薬が渡ってしまうことがあれば、薬の利益よりも副作用や健康被害のリスクが上回る可能性があります。
糖尿病専門医としては、ここを強く心配しています。
番組内では、糖尿病専門医として、マンジャロ/ゼップバウンドの正しい使い方と、安易な使用への注意点についてお話ししました。
■ マンジャロ/ゼップバウンドは「誰でも気軽に使う薬」ではありません
マンジャロの一般名は、チルゼパチドです。
チルゼパチドは、GIP受容体とGLP-1受容体に作用する薬です。
2型糖尿病では、血糖値の改善が期待される薬です。
また、食欲や満腹感に関わる作用もあるため、体重減少が注目されることがあります。
しかし、体重が減る可能性があるからといって、誰でも使ってよい薬ではありません。
マンジャロは2型糖尿病の治療薬です。
ゼップバウンドは肥満症の治療薬です。
特に肥満症治療薬として使う場合も、単に「やせたい」という希望だけではなく、医学的な診断、合併症の確認、食事療法・運動療法、定期的な診察が重要です。
体重を減らす必要がある方にとっては、薬物療法が大きな助けになることがあります。
一方で、医学的にやせる必要がない方が使用した場合、安全性と有効性のバランスが不明確になることがあります。
だからこそ、自己判断ではなく、医療機関で相談していただくことが大切です。
■ 実際の診療でも「どうしても処方してほしい」という相談があります
実際の診療の中でも、
「どうしてもマンジャロを処方してほしい」
「他では出してもらえた」
「美容目的で使いたい」
「少しだけでもやせたい」
というご相談を受けることがあります。
しかし、医師は希望された薬をそのまま出すだけの仕事ではありません。
その薬が本当に必要か。
その方の病状に合っているか。
副作用が出た時に対応できるか。
他の治療方法を先に考えるべきではないか。
食事・運動療法が継続できているか。
そういった点を確認したうえで、医学的に必要と判断した場合に処方を検討します。
そのため、希望に添えないこともあります。
時には、患者さんと押し問答のようになることもあります。
しかし、それは意地悪をしているのではありません。
安全に治療を受けていただくためです。
本当に必要な方に、適切な形で薬を使っていただくためです。
■ 薬をやめた後のリバウンドにも注意が必要です
番組では、薬をやめた後のリバウンドについても質問を受けました。
減量効果が期待される薬では、薬を中止した後に体重が戻ることがあります。
だからこそ、薬だけに頼るのではなく、食事療法・運動療法を継続することが大切です。
臨床研究でも、薬だけを使って何もしないというより、食事や運動などの生活習慣の改善とあわせて治療を行うことが前提となっています。
薬は、治療の助けになることがあります。
しかし、生活習慣を整えることは、治療の土台です。
当院では、薬だけではなく、管理栄養士による栄養相談、糖尿病専門医による治療方針の確認、必要に応じた血糖データの確認などを通じて、患者さんが無理なく続けられる治療を一緒に考えています。

番組内では、出演者の皆さまと一緒に、薬の使い方や社会的な課題について考える機会をいただきました。
■ 本来必要な糖尿病患者さんに薬が届くことも大切です
以前、糖尿病治療薬の供給が不安定になり、必要としている患者さんに薬が届きにくくなることがありました。
現在は流通している状況でも、安易な使用が過度に広がると、本来必要な糖尿病患者さんや肥満症患者さんに影響が出る可能性はゼロではありません。
糖尿病専門医としては、薬が話題になること自体を否定したいわけではありません。
むしろ、正しく理解され、必要な方に適切に届くことが大切だと考えています。
だからこそ、SNSの断片的な情報だけで判断せず、医師に相談していただきたいと思います。
■ テレビ出演を通じて、あらためて感じたこと
今回、関西テレビ「ドっとコネクト」に出演させていただき、あらためて感じたことがあります。
それは、糖尿病や肥満症の治療薬について、社会の関心が非常に高まっているということです。
薬の名前だけが先に広がると、
「簡単にやせる」
「誰でも使える」
「ネットで買える」
といったイメージが先行してしまうことがあります。
しかし、医療の現場では、そう単純ではありません。
糖尿病治療も、肥満症治療も、患者さんの体質、生活、合併症、検査結果、薬の副作用、長期的な健康を見ながら考える必要があります。
当院では、糖尿病専門クリニックとして、血糖値だけを見るのではなく、体重、血圧、脂質、腎機能、肝機能、食事、運動、生活背景を含めて総合的に診療することを大切にしています。

生放送という緊張感のある場でしたが、番組を通じて多くの方に正しい医療情報をお届けできる貴重な機会となりました。
■ 澤木内科・糖尿病クリニックで大切にしていること
澤木内科・糖尿病クリニックでは、患者さんを責める診療ではなく、一緒に考える診療を大切にしています。
糖尿病の患者さんの中には、
「食事を注意されるのがつらい」
「また怒られるのではないか」
「薬を増やされるだけではないか」
「自分の生活を理解してもらえるのか」
と不安を感じている方もおられます。
当院では、患者さんの生活やお気持ちを伺いながら、今できることを一緒に考えます。
必要な方には、薬物療法も大切です。
しかし、薬だけでなく、食事、運動、体重管理、血糖管理、CGM、栄養相談などを組み合わせて、患者さん一人ひとりに合った治療を考えていきます。
2型糖尿病でHbA1cがなかなか下がらない方。
インスリン治療中で低血糖が心配な方。
リブレ2やDexcom G7などのCGMを治療に活かしたい方。
GLP-1受容体作動薬やチルゼパチドなどの治療について相談したい方。
肥満症や体重管理について医学的に相談したい方。
そのような方は、自己判断で悩まず、医療機関でご相談ください。
■ 最後に
今回のテレビ出演は、当院にとっても、私自身にとっても貴重な経験でした。
関西テレビ「ドっとコネクト」の番組関係者の皆さま、出演者の皆さま、そしてご覧いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。
これからも、澤木内科・糖尿病クリニックでは、糖尿病専門医として、患者さんにとって正確で役立つ医療情報を発信してまいります。
薬の話題だけが一人歩きするのではなく、必要な方が、必要な医療に、安全につながれるように。
そのために、これからも診療と情報発信の両方に取り組んでまいります。
澤木内科・糖尿病クリニック
院長 澤木秀明

番組出演直前に、共演者のお一人の山田邦子さんと記念撮影をしました。(掲載許可もいただきました。)
気さくな方で、楽しくお話ができました。貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
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