CGMで血糖管理は変わる?REAL J研究の結果と、Dexcom G7・リブレ2の選び方

1型糖尿病について

※2026年7月、記事の構成を見直し、最新の製品情報を反映して内容を更新しました。

こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。

「センサーを取りつけるだけで HbA1c が改善するんですか?」

CGM(持続グルコース測定)をご提案したとき、外来でよくいただく質問です。装置をつけただけで数値が改善するというのは、たしかに不思議に思えますよね。

この疑問について、日本国内で実施された研究があります。REAL J研究といい、当院も参加施設のひとつとして症例を登録しました。

院長 澤木秀明
院長 澤木秀明

結果を先にお伝えします。治療内容を特に変更していないにもかかわらず、6か月後の平均HbA1cは8.61%から7.88%へ改善していました。

このページでは、この研究の内容をご紹介したうえで、CGMがどんな方に向いているのか、Dexcom G7とフリースタイルリブレ2をどう選ぶのかを、順にお伝えします。

上腕にCGMセンサーを装着した院長 澤木秀明

REAL J研究とは|当院も参加した国内の観察研究

REAL J研究は、日本国内の複数の施設で実施された観察研究です。リアルタイムCGMの装着が、糖尿病のある方の血糖コントロールにどのような影響を与えるかを調べました。当院もこの研究に参加しました。

対象となったのは、次の条件を満たす方々です。

  • 18歳以上
  • CGM使用前のHbA1cが7.5%以上
  • Dexcom G6を6か月以上装着
  • 対象者数:192名
  • 約90%が1型糖尿病の方

HbA1c 7.5%以上という条件からもわかるとおり、血糖コントロールに課題を抱えている方が対象です。

結果|治療を変えずにHbA1cが改善

研究開始前の平均HbA1cは 8.61%。6か月後には 7.88% まで改善しました(p<0.001)。

差は0.73%、統計学的にも意味のある改善です。

ここで注目していただきたいのは、薬やインスリンの内容を特に変更していないという点です。つまり、「血糖値の動きが見えるようになったこと」そのものが、改善に結びついた可能性を示しています。

この観察研究の結果は、岡山県で開催された第68回日本糖尿病学会年次学術集会で発表されました。筆頭著者の東海大学教授 豊田雅夫先生が、研究グループを代表してご講演くださいました。

第68回日本糖尿病学会 REAL J study の発表抄録

院長 澤木秀明
院長 澤木秀明

大学病院や基幹病院の先生方が並ぶ共著者の一覧に、地域のクリニックとして名前を連ねることができました。
日々の診療で得られたデータが、日本全体の糖尿病診療の議論に加わっていく。クリニックの立場でこうした形で貢献できたことを、うれしく思っています。

第68回日本糖尿病学会年次学術集会 ポスター

この結果を読むときの注意点

大切なことなので、あわせてお伝えします。

REAL J研究は観察研究です。CGMを使わなかった方との比較(対照群)を置いた研究ではないため、「CGMだけが改善の原因である」と断定することはできません。研究に参加された方の意識の変化など、他の要因も関わっている可能性があります。

また、対象はDexcom G6を使用していた方であり、後述するDexcom G7やフリースタイルリブレ2について直接調べた研究ではありません。

それでも、日本の実際の診療現場で192名という規模のデータが集まり、明確な改善が示されたことには意味があると考えています。

CGMとは|血糖値を「点」ではなく「流れ」で見る

ここで、基本的なところを整理しておきます。

CGM(Continuous Glucose Monitoring/持続グルコース測定) は、皮下にセンサーを設置し、24時間、自動で連続的にグルコース値を測定するしくみです。
国内で使用されている機器には、フリースタイルリブレ2、Dexcom G7、ガーディアン4スマートCGM などがあります。

指先の血糖自己測定(SMBG)でわかるのは、測ったその瞬間の値だけです。診察室で測った血糖値が120mg/dLでも、朝食後に250mg/dLまで上がっていたのか、夜中に低血糖になっていたのかは、そこからは見えません。

CGMを使うと、血糖値が急に上昇・下降するタイミングや傾向をリアルタイムで知ることができ、「気づかない高血糖/低血糖」を見つけやすくなります。
院長 澤木秀明
院長 澤木秀明

近年、CGMは糖尿病治療においてますます普及してきており、1型・2型を問わず、血糖コントロールを改善する可能性が報告されています。
保険診療の枠組みも変化しつつあり、インスリン療法を行っていない方にも 選定療養 の枠で導入可能なケースが出てきています。

2型糖尿病の日常診療における持続血糖モニタリング(2024年の総説)

▶関連記事:血糖自己測定(SMBG)って何?正しい方法とメリットをやさしく解説

なぜ「見える」だけで改善するのか

治療を変えなくても数値が改善する。その理由は、次のようなところにあると考えられます。

気づいていなかった変動が見つかる

夜間の低血糖、食後の急上昇。自覚症状がないまま起きていた変動が可視化されます。当院の患者さんからも「朝のパンでこんなに上がるとは思わなかった」「夜中に下がっていたことに気づいた」という声をよく聞きます。

その場で対応できる

設定した値を外れるとアラートが鳴るため、重い低血糖や高血糖になる前に手を打てます。

食事や運動との関係が自分でわかる

「この食べ方だと上がりにくい」「食後に少し歩くと違う」といったことを、ご自身のデータで確認できます。人から言われるのではなく自分で気づくので、無理なく続けられる工夫につながります。

診察での相談が具体的になる

「なんとなく調子が悪い」ではなく、グラフを一緒に見ながら「この時間帯をどうするか」を検討できます。

院長 澤木秀明
院長 澤木秀明

CGMのデータは、患者さんを責めるためのものではありません。
血糖値が上がる理由を一緒に見つけ、無理なく続けられる方法に近づくための手がかりです。

CGMが特に役立つ方

次のような方には、CGMの導入が特に有用と考えられます。

・HbA1cがなかなか目標に近づかない方
・夜間や早朝の、自覚のない低血糖・高血糖が疑われる方
・インスリン治療中で、血糖の変動が大きい方
・食後高血糖を改善したい方
・生活習慣の見直しに、自分のデータを活用したい方

ただし、CGMをつければ誰でも必ず改善する、というものではありません。データをどう読み、どう活かすかが要になります。

Dexcom G7とフリースタイルリブレ2の違い

当院で扱っている2機種について、選ぶ際のポイントを整理します。

 

項目 Dexcom G7 フリースタイルリブレ2
グルコース値の取得 自動でリアルタイム表示 アプリで起動した場合は自動表示。Readerで起動した場合はスキャンして確認
アラート機能 あり あり
センサー使用期間 10日間+猶予期間 14日間
装着部位 上腕・腹部など 上腕の後ろ側
ペースメーカー使用中の方 使用可能 使用できません
CT・X線検査 センサーが撮影範囲外にあり、鉛エプロンで覆われている場合は検査可能 装着したまま検査可能(2026年7月改訂)
MRI検査 取り外しが必要 取り外しが必要
空港の保安検査 装着したまま検査を受けられます ボディスキャナーは通れません。係員に申し出て別の方法を依頼してください

▶関連記事:リブレの次に知ってほしいCGM「デクスコムG7」とは|精度・アラート・使い方を専門医が解説

センサーの交換サイクルと、1か月のカバー

意外と見落とされがちですが、機種を選ぶうえで「1か月を切れ目なくカバーできるか」は実生活に関わるポイントです。

院長 澤木秀明
院長 澤木秀明

フリースタイルリブレ2のセンサーは1枚で14日間使用できるため、2枚で最長28日分になります。Dexcom G7は1枚あたり10日間に猶予期間が加わるため、3枚でおよそ最長31日分となります。

そのため、月の日数によっては、Dexcom G7のほうが途切れずに装着し続けやすい場合があります。

ただし、保険診療で処方できるセンサーの枚数は、糖尿病の病型やインスリンの使用状況、診療報酬上の要件によって異なります。ご自身がどの条件にあてはまるかは、診察で確認いたします。

当院では、リブレ2とDexcom G7のどちらにも対応しています。血糖の変動パターン、生活スタイル、費用のご希望などをうかがったうえで、無理なく続けられる方法をご提案していますので、遠慮なくご相談ください。

 

旅行や出張で飛行機に乗るとき

見落とされがちですが、空港の保安検査での扱いが2機種で異なります。

フリースタイルリブレ2は、全身を映すタイプの検査機(ボディスキャナー)を通ることができません。センサーが影響を受ける可能性があるためです。保安検査の際は係員に「医療機器を装着しています」と申し出て、金属探知機での検査や、係員による手による確認など、別の方法をお願いしてください。

デクスコムG7は、金属探知機のゲートも、全身を映すタイプの検査機も、装着したまま通ることができます。ただし、保安検査のエリアを出るまでは、インスリンの量を決めるなどの判断には、指先の血糖測定の値を使ってください。

※製品の仕様は変更されることがあります。最新の情報は各メーカーの添付文書をご確認ください。どちらが適しているかは、生活スタイルや併存する疾患によって異なりますので、診察でご相談ください。

▶関連記事:フリースタイルリブレ2はCT・X線検査中も外さなくてよくなりました|MRIは従来どおり取り外しが必要です

▶関連記事:フリースタイルリブレ2(CGM)とは?血糖値の流れを見える化する糖尿病治療

導入するときに知っておいてほしいこと

皮膚のトラブル

装着部位に発赤やかゆみが出ることがあります。同じ場所を続けて使わない、皮膚の状態を定期的に確認するといった対応が大切です。

数字を追いすぎない

グラフが細かく見えるぶん、一つひとつの変動に一喜一憂してしまう方もいらっしゃいます。大切なのは「波」ではなく「傾向」です。データを見て不安が強くなるようなら、外来でご相談ください。

アラートの設定を調整する

アラートが頻繁に鳴りすぎると、かえってストレスになります。設定値は生活に合わせて調整できますので、遠慮なくお申しつけください。

費用と保険適用

インスリン治療中の方は保険診療で、インスリンを使用していない糖尿病の方は選定療養で、糖尿病のない方は自費で、それぞれ使用できる場合があります。要件が異なりますので、診察で確認いたします。

自己判断で治療を変えない

データを見て、ご自身の判断で薬やインスリンの量を変更するのは危険です。得られたデータをもとに、一緒に治療方針を検討していきましょう。

澤木内科・糖尿病クリニックでの取り組み

当院では、インスリンポンプ、AID・SAP療法、SMBG、フリースタイルリブレ2、Dexcom G7、ガーディアン4スマートCGMなどを用いた、1型糖尿病の専門的な治療に対応しています。

CGMについては、機器をお渡しして終わりにはしません。得られたデータを、食事・運動・薬・体重・HbA1cとあわせて確認し、お一人おひとりに合った方法を一緒に考えることを大切にしています。

REAL J研究への参加も、そうした日々の診療の延長線上にあるものです。地域のクリニックとして、患者さんと向き合いながら、その経験を医療全体にも還元していきたいと考えています。

まとめ

  • 当院も参加したREAL J研究では、治療内容を変更せずに、6か月でHbA1cが平均8.61%→7.88%へ改善しました(192名・観察研究)
  • CGMは血糖値を「点」ではなく「流れ」で見る機器です。見えていなかった夜間低血糖や食後高血糖が把握できます
  • ただし観察研究であり、対照群との比較ではない点にはご留意ください
  • Dexcom G7とリブレ2は、装着期間や検査時の扱いなどに違いがあります。生活に合わせて選びましょう
  • 大切なのは装着することではなく、得られたデータを治療に活かすことです

CGMの導入を検討されている方、どの機器が合うか迷われている方は、診察でお気軽にご相談ください。

関連ページ

【参考】豊田雅夫ほか「本邦におけるリアルタイム持続血糖測定器の使用と糖尿病患者の血糖コントロールに関する観察研究:The REAL J study」第68回日本糖尿病学会年次学術集会(2025年5月、岡山)/American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2026

※このページは一般的な情報提供を目的としています。治療の内容や機器の選択は患者さんお一人おひとりで異なりますので、必ず主治医にご相談ください。