「中性脂肪が高いといわれたけど、お腹の脂肪のことでしょ?」
「採血するときは、朝食前の空腹時採血でなければ、いけないのでしょうか?」
「やせているのになぜ脂質異常症なんでしょうか?」


脂質異常症(ししついじょうしょう)とは

LDLコレステロール 140mg/dl 以上
HDLコレステロール 40mg/dl 未満
トリグリセライド(中性脂肪):空腹時採血 150mg/dl 以上
トリグリセライド(中性脂肪):随時採血 175mg/dl以上
と定義されています。

今までは、中性脂肪は朝食前など、10時間以上の絶食後の採血検査で評価することになっていました。
この度、日本動脈硬化学会より、随時採血、すなわち
食後などの目標値は175mg/dl未満が提唱されました。

おへそ周りの脂肪は皮下脂肪、内蔵周りの脂肪は内臓脂肪と呼びますが、中性脂肪と必ずしも同じではないです。
また、遺伝子異常による脂質異常症の場合は、体型に関係がない場合があります。

脂質異常症があると何が問題か?

通常ほとんどの方に症状はありません。
したがって、元気だから、大丈夫ともいいきれないのです。
冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞など)や脳梗塞の発症率上昇に、
高LDL血症、高トリグリセライド血症、低HDL血症が関係します。
冠動脈疾患や脳梗塞の予防を目的に脂質異常症の方は、
脂質管理目標値を目指します。

糖尿病の人のLDLコレステロールの目標値は、さまざまです。

どうやって決まっているかといいますと
末梢動脈疾患、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、
または、喫煙ありの場合、100mg/dl未満となりました。

これらを伴わない場合、今までどおり、LDL120mg/dl未満となっています。

中性脂肪は食前で150mg/dl未満、随時で175mg/dl未満が提案されています。

脂質異常症の治療方法とは

LDLコレステロールが高い方の場合は、コレステロールの摂取を200mg/日未満に制限することが推奨されています。
具体的には、肉の脂身や動物性の脂(牛脂、ラード、バター)、加工肉製品、乳類、臓物類、卵類の制限を考慮します。

緑黄色野菜や大豆、大豆製品の摂取がおすすめです。
薬物療法ではスタチン系や小腸トランスポーターの薬剤を用いることが多いです。
LDLの目標値からのどれくらいはなれているかや

妊娠を予定していないかなど、患者さんの状況から薬物は選ぶ必要があります。
患者さんそれぞれで治療法は検討する必要があるので、ざっくりとした一般論になります。

高中性脂肪の方の場合は、適正体重を維持を目指し、炭水化物エネルギー比率が50%-60%

になるように、炭水化物量を低めに設定することが多いです。

アルコールや果物も中性脂肪をあげうるので、とりすぎに注意が必要です。

薬物療法としては、選択的PPARαモジュレーターである、ペマフィブラート(パルモディア)がスタチン系薬剤と

併用しやすいことから、高LDL血症と高中性脂肪血症の療法がある患者さんに使われます。

 

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版参照