こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。
「HbA1cを下げるには、何を食べればいいですか?」
外来で、とてもよくいただくご質問です。
最初に結論をお伝えします。「これを食べればHbA1cが下がる」という魔法の食べ物はありません。
大切なのは、血糖値を上げやすい食品を、上げにくい食品に置き換えることです。
この記事では、毎日の食事で取り入れやすい「置き換え」を、糖尿病専門医の立場からランキング形式でご紹介します。記事の後半には、食品の一覧表と、食事を変える前に注意が必要な方についてもまとめています。
結論:HbA1cを下げる食べ物ランキングTOP5(早見表)
| 順位 | 置き換える前 | 置き換えた後 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 第1位 | じゃがいも・かぼちゃ・とうもろこし | 葉物野菜・きのこ・ブロッコリー・海藻 | 糖質が少なく、食物繊維が多い |
| 第2位 | マーガリン・揚げ物の古い油 | オリーブオイル・ナッツ・菜種油 | 動脈硬化の予防につながる |
| 第3位 | 不足しがちなタンパク質 | 魚・肉・卵・大豆製品を毎食 | 筋肉を保ち、糖質の取りすぎを防ぐ |
| 第4位 | 白米・白いパン | 玄米・もち麦・全粒粉パン | 食物繊維で糖の吸収がゆっくりになる |
| 第5位 | 砂糖 | 低糖質甘味料(ラカントSなど) | 血糖値を上げにくい |
それぞれの詳しい理由と、上手な取り入れ方は、このあと第5位から順番に解説します。
HbA1cとは?何%から注意が必要?
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1〜2か月の血糖値の平均を反映する検査値です。その日の食事の影響を受けにくいため、血糖コントロールの状態を知る大切な指標になります。
- HbA1c 6.5%以上:糖尿病型
- HbA1c 6.0〜6.4%:糖尿病の可能性が否定できない
- 糖尿病の方の合併症予防の目標:7.0%未満
目標値は、年齢や合併症、低血糖の起こりやすさなどによって一人ひとり異なります。くわしい基準値は糖尿病の血液検査の数値・基準値の記事で解説しています。
「これを食べれば下がる」食べ物はありません:置き換え法が大切

食事全体を見直さずに、体に良いと言われる食べ物だけを追加しても、他の食事の影響を帳消しにして血糖値が下がる、ということはありません。
テレビで「体に良い」と紹介された食品でも、たくさん食べれば量が多くなり、結果的に糖質のとりすぎになっていた、ということはよくあります。
炭水化物は、血糖値を上げる糖質と、血糖値を上げない食物繊維に分けられます。糖質をとりすぎると、インスリンが分泌されても処理しきれず、食後の高血糖が続きます。これが積み重なると、HbA1cが上がっていきます。
そこで私は、
- 糖質の多いものを減らす
- 糖質の多いものを、糖質の少ないものに置き換える
- 糖質の吸収をゆっくりにする
という3つの考え方をおすすめしています。今回のランキングは、糖質の量だけでなく、食後の血糖値の上がり方(血糖値スパイク)がよくなる食品と食べ方という観点から選んでいます。

第5位 砂糖 → 低糖質甘味料(ラカントSなど)
砂糖はおいしいですが、食後に急激な血糖値の上昇(血糖値スパイク)を起こしやすい、注意が必要な調味料です。糖尿病の予防や治療に取り組む方は、砂糖を料理や飲み物に加えるのを控えることが大切です。
それでも「甘いものが大好き」「甘みがないと物足りない」という方には、低糖質甘味料をおすすめしています。ラカントS、パルスイートカロリーゼロ、シュガーカットゼロなどを、上手に使ってください。

患者さんから「成分表示に炭水化物と書いてあるけれど大丈夫?」と聞かれることがあります。ラカントSなどに含まれる糖アルコールの「エリスリトール」は、表示上は炭水化物に含まれますが、体内でほとんど代謝されないため、ほどほどの量であれば血糖値を上げる糖質として数えなくてよいものです。
ただし、糖質がまったくゼロという製品ばかりではありませんので、極端に多い量の使用は控えてください。
第4位 白米・白いパン → 玄米・もち麦・全粒粉パン

精製された穀物(白米、白いパン)を、精製されていない穀物(玄米、もち麦ごはん、全粒粉パンなど)に置き換えると、食物繊維が増え、糖の吸収がゆっくりになります。
ここで大切なのは、量は今までと同じか、少なめにすることです。玄米も糖質を含みますので、「体に良いから」と量が増えてしまうと、かえって血糖値の上昇につながります。
第3位 魚・肉・卵・大豆製品などのタンパク質を毎食
タンパク質は血糖値にほとんど影響しません。また、筋肉を作る材料になります。筋肉は毎日作られては分解されるサイクルを繰り返しているため、毎食タンパク質を補うことが大切です。
目安としては、体重1kgあたり1日1g程度です。たとえば体重60kgの方なら1日60g、1食あたり約20gになります。

含まれるアミノ酸は食品によってさまざまですので、肉、魚、卵、豆腐や納豆などの大豆製品、チーズなど、いろいろな食品からとるようにおすすめしています。
注意点として、ソーセージやちくわなどの加工食品は塩分が多く、高血圧の原因になることがあります。また、腎臓の病気がある方は、タンパク質を控える必要がある場合があります。タンパク質の目標量は、合併症や年齢、体格、運動量によって変わりますので、主治医にご確認ください。
第2位 マーガリン・揚げ物の油 → オリーブオイル・ナッツ・菜種油
糖尿病の合併症には、動脈硬化が原因で起こるものがあります。そのため、油の選び方もとても大切です。
控えたいのは、マーガリンやファットスプレッドなどトランス脂肪酸の多い油や、揚げ物に繰り返し使われた古い油です。積極的に選びたいのは、オリーブオイル、菜種油、アーモンドなどのナッツです。これらには、一価不飽和脂肪酸という、動脈硬化の予防の面で好ましい脂肪が多く含まれています。

糖尿病の合併症の覚え方に「しめじ」と「えのき」があります。「しめじ」は神経障害(し)、網膜症(め)、腎症(じ)の三大合併症です。「えのき」は動脈硬化による病気で、足の壊疽(え)、脳梗塞(の)、狭心症・心筋梗塞(き)を指します。この「えのき」を防ぐために、油への配慮が重要になります。
なお、油やナッツはカロリーが高いので、使う量はほどほどにしてください。
第1位 じゃがいも・かぼちゃ → 葉物野菜・きのこ・ブロッコリー・海藻
野菜の中でも、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、とうもろこし、れんこん、ゆり根などは、でんぷん(糖質)が多い食品です。「野菜だから安心」と多めに食べていると、思った以上に血糖値が上がることがあります。
おすすめは、食物繊維の多い葉物野菜、きのこ、たけのこ、ブロッコリー、オクラ、海藻などに置き換えて、ゆっくりよく噛んで食べることです。

食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維があります。
水溶性食物繊維は、腸の中で糖質を包み込むようにして、糖の吸収をゆっくりにします。その結果、食後の血糖値の上がり方がゆるやかになり、血糖値スパイクを防ぐことが期待できます。余分なコレステロールを便と一緒に排出する働きも期待されます。

不溶性食物繊維は、便の量を増やして便通を促します。また、歯ごたえがあり、よく噛んで食べることにつながるため、食べすぎの防止にも役立ちます。
朝に食べた食物繊維は、お昼にはもう残っていません。そのため、食物繊維は毎食とることが大切です。
HbA1cを下げる食品一覧表
ランキングの内容を、食品の種類ごとにまとめました。毎日の買い物や献立づくりの参考にしてください。
| 種類 | おすすめ | 控えめに |
|---|---|---|
| 主食 | 玄米、もち麦ごはん、全粒粉パン、そば(量は控えめに) | 白米の大盛り、菓子パン、ラーメン・うどんの大盛り |
| 主菜 | 魚、鶏肉、卵、豆腐、納豆 | ソーセージ・ハムなどの加工肉、揚げ物 |
| 副菜 | 葉物野菜、きのこ、海藻、ブロッコリー、オクラ | じゃがいも、かぼちゃ、とうもろこし、れんこん(食べる量に注意) |
| 油 | オリーブオイル、菜種油、ナッツ(少量) | マーガリン、揚げ物の古い油 |
| 甘味 | 低糖質甘味料(ラカントSなど) | 砂糖、お菓子、ジュース |
| 飲み物 | 水、お茶、無糖のコーヒー | 清涼飲料水、加糖の缶コーヒー、スポーツドリンク |
飲み物については、血糖値・HbA1cを下げる飲み物ランキングの記事でくわしく解説しています。
食べ方も大切:野菜から先に、炭水化物は最後に

何を食べるかと同じくらい、食べる順番も大切です。野菜、おかず(タンパク質)、ごはんの順番で食べ、炭水化物を最後にする「カーボラスト」をおすすめしています。
食物繊維を食事の最初にとると、腸の中で糖質を待ち伏せするように包み込み、糖の吸収をゆっくりにします。一緒に食べても効果がなくなるわけではありませんが、最初に食べる方がより効果的です。「野菜はできるだけ最初に」を意識してみてください。
また、食後に軽く体を動かすことも、食後の血糖値の上昇を抑えるのに役立ちます。運動のタイミングについては、運動は食後?食前?いつやるのが効果的?の記事をご覧ください。
食事を変える前に注意が必要な方
次のような方は、自己判断で急に食事を大きく変えず、必ず主治医に相談してください。
- インスリン注射やSU薬などを使っている方:糖質を急に減らすと、低血糖を起こすことがあります。
- SGLT2阻害薬を飲んでいる方:極端な糖質制限を行うと、ケトアシドーシスという危険な状態を起こすおそれがあります。
- 腎臓の病気がある方:タンパク質を増やしすぎると、腎臓に負担がかかる場合があります。
- ご高齢の方:食事を減らしすぎると、筋肉が減る「サルコペニア」や低栄養につながることがあります。
まとめ

HbA1cを下げる食べ物ランキングは、次のとおりです。
- 第1位 じゃがいも・かぼちゃ → 葉物野菜・きのこ・ブロッコリー・海藻
- 第2位 マーガリン・揚げ物の油 → オリーブオイル・ナッツ・菜種油
- 第3位 魚・肉・卵・大豆製品などのタンパク質を毎食
- 第4位 白米・白いパン → 玄米・もち麦・全粒粉パン(量は同じか少なめに)
- 第5位 砂糖 → 低糖質甘味料
どれか一つを食べれば下がるのではなく、毎日の食事で少しずつ置き換えていくことが、HbA1cを下げる近道です。少しの工夫で、血糖値を上げずにおいしく召し上がっていただけます。
健康診断でHbA1cや血糖値が高いと言われた方、食事だけで改善するか不安な方は、お気軽にご相談ください。当院は完全予約制で、Web予約は24時間受け付けています。
YouTubeでも解説しています。動画版は下の画像をクリックしてください。
参考文献
- 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病診療ガイドライン2024』南江堂
- American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care.



