「1型糖尿病と2型糖尿病ってどうちがうの?」
「1型糖尿病と2型糖尿病って共通点があるの?」
「1型糖尿病と2型糖尿病を見分けるのが難しい場合があるの?」
「私って、本当に1型糖尿病なのかしら。」
「私って、本当に2型糖尿病なのかしら。」

1型糖尿病と2型糖尿病を比較してみます。

■1型糖尿病と2型糖尿病の両方がすい臓のベーター細胞はダメージをうけます。

○1型糖尿病
なぜなるかという原因については、多くは自己免疫性と考えられています。劇症1型糖尿病ではウイルス説、自己免疫応答説など諸説あります。
細胞障害性T細胞やマクロファージなどの免疫担当細胞からでる、サイトカインや酸化ストレスですい臓のベーター細胞がダメージをうけます。
自己免疫性の糖尿病のときには、患者自身の免疫担当細胞が自分のすい臓を攻撃してしまい、すい臓でのインスリンの合成や分泌ができなくなります。

○2型糖尿病では糖毒性、脂肪毒性、インスリン抵抗性などが原因ですい臓のベーター細胞がよわります。
出生後のすい臓のベータ細胞量は糖尿病でない方でも成人以降徐々に減ります。2型糖尿病の患者さんでは、より顕著に進行性にへると提唱されている。
一方、非糖尿病の肥満の方では、すい臓のベータ細胞量は増加するとされています。
出典:Rhodes CJ,Science,2005

■1型糖尿病の現状

全糖尿病の約10-15%とされています。
意外に1型糖尿病の方が多いことが近年判明しています。

2型糖尿病に比較すると、1型糖尿病は若年者に多く、病気とつきあう期間が長く、QOL(生活の質)が著しく低下します。
現在の治療の主体は、すい臓で作られなくなったインスリンを補うことです。そのため、インスリン注射による治療を上手に行って、生活に糖尿病治療をあわせれるかを目指しています。。
移植医療の進展もみられ、膵島移植で12年以上生着している方もおられるそうです。

■1型糖尿病の分類には

1型糖尿病の分類には病気になるのにどれくらいの期間でなったかに着目して、命名されている分類があります。
劇症1型糖尿病、急性発症1型糖尿病、緩徐進行1型糖尿病があります。
劇症1型糖尿病、急性発症1型糖尿病では短期間で糖尿病になるので、診断基準を参照すればインスリン分泌が低下し、生存にインスリン注射がかかせない、「インスリン依存状態」であるかどうかに迷うことは少ないです。(1型糖尿病のインスリン治療についてはこちら)
一方、緩徐進行1型糖尿病はまだ、生存にインスリン注射がかかせないインスリン依存状態になっていない場合があります。

■2型糖尿病と見極めが難しいことがある、緩徐進行1型糖尿病とは

見た目は小太りの2型糖尿病にみえますが、調べてみたら、緩徐進行1型糖尿病であったという場合があります。(緩徐進行1型糖尿病の詳細はこちら)
一方、緩徐進行1型糖尿病と思われている中に、ぜんぜん、進行しないように思える患者さんも含まれているとの報告があります。
すなわち、インスリン分泌が枯渇することなく、保たれている幸運なかたで、2型糖尿病でたまたまGAD抗体という1型糖尿病の診断のマーカーが陽性だったという可能性があります。

■ワンポイントアドバイス

2型糖尿病のように考えられて治療されているなかで、緩徐進行1型糖尿病の患者さんがおられたり、緩徐進行1型糖尿病と考えられていてもインスリン分泌機能は保たれているかたもおられます。
インスリンがでなくなった1型糖尿病の場合は、持効型インスリンは手放せませんので、見極めはとても重要になります。