糖尿病は血液検査でわかる?健診で見るべき数値を解説

糖尿病の検査

糖尿病は血液検査でわかる?健診で見るべき数値を解説

こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。

健康診断や人間ドックで、

「血糖値が高いと言われました」
「HbA1cが高いと書かれていました」
「糖尿病の疑いと書かれていて不安です」

と相談に来られる方は少なくありません。

糖尿病は、初期の段階では自覚症状がほとんどないことも多く、健康診断の血液検査で初めて指摘されることがあります。

では、糖尿病は血液検査だけでわかるのでしょうか。

結論から言うと、糖尿病を疑う重要な手がかりは血液検査でわかります。
ただし、1回の血液検査だけで必ず糖尿病と確定するとは限りません。

糖尿病の診断では、血糖値、HbA1c、必要に応じて75gOGTTなどを確認し、慢性的に血糖値が高い状態があるかどうかを総合的に判断します。

この記事では、健康診断で見るべき血液検査の数値について、糖尿病専門医の立場からわかりやすく解説します。

健康診断でまず見るべき数値は「血糖値」と「HbA1c」です

糖尿病を疑うとき、健康診断で特に重要なのは、主に次の2つです。

・血糖値
・HbA1c

血糖値は、採血した時点での血液中のブドウ糖の濃度を示します。

一方、HbA1cは、過去1〜2か月程度の血糖の平均的な状態を反映する検査です。

血糖値はその時の食事や体調の影響を受けやすい一方で、HbA1cは比較的長い期間の血糖状態を反映します。

そのため、健康診断で糖尿病を疑う場合には、血糖値とHbA1cを合わせて見ることが大切です。

日本糖尿病学会のガイドラインでも、糖尿病の診断では慢性高血糖を確認し、血糖値やHbA1c、症状などを参考に総合判断するとされています。

糖尿病が疑われる血液検査の基準値

糖尿病の診断では、まず「糖尿病型」という基準があります。

以下のいずれかに当てはまる場合、検査結果としては糖尿病型と判断されます。

検査項目 糖尿病型の基準
(早朝)空腹時血糖値 126mg/dL以上
75gOGTT 2時間値 200mg/dL以上
随時血糖値 200mg/dL以上
HbA1c 6.5%以上

日本糖尿病学会のガイドラインでは、(早朝)空腹時血糖値126mg/dL以上、75gOGTT 2時間値200mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上が糖尿病型の基準として示されています。

ここで大切なのは、糖尿病型という検査結果と、糖尿病の確定診断は同じではないということです。

たとえば、HbA1cが6.5%以上だった場合、糖尿病が強く疑われます。
しかし、HbA1cだけが高い場合には、血糖値による確認が必要になることがあります。

HbA1cが6.5%以上なら糖尿病ですか?

健康診断でよく相談されるのが、

「HbA1cが6.5%以上でした。これは糖尿病ですか?」

という質問です。

HbA1cが6.5%以上であれば、糖尿病型と判断されます。

ただし、HbA1cだけを2回測って、2回とも6.5%以上だったとしても、それだけでは糖尿病と診断できません。

糖尿病と診断するには、2回の糖尿病型の確認のうち、少なくとも1回は血糖値で糖尿病型を確認する必要があります。

つまり、HbA1cは非常に重要な検査ですが、糖尿病の診断では血糖値の確認も欠かせません。

ガイドラインでも、糖尿病型を2回確認する場合、1回は必ず血糖値で確認すること、HbA1cのみの反復検査による診断は不可とされています。

(早朝)空腹時血糖値は何mg/dLから注意が必要ですか?

空腹時血糖値とは、朝の食事をしていない状態で測定した血糖値です。

糖尿病型の基準は、空腹時血糖値126mg/dL以上です。

ただし、126mg/dL未満であればまったく安心、というわけではありません。

ガイドラインでは、朝の空腹時血糖値が100〜109mg/dLの場合、正常域ではあるものの「正常高値」とされています。また、朝の空腹時血糖値が100〜109mg/dLの方でも、糖尿病に進むリスクや、75gOGTTで耐糖能異常が見つかる可能性があるため、必要に応じてOGTTを検討するとされています。

健康診断で朝の空腹時血糖値が100mg/dLを超えている場合は、すぐに糖尿病と決めつける必要はありません。
しかし、将来の糖尿病リスクを考えるうえでは、放置せずに経過を見ることが大切です。

随時血糖値とは何ですか?

随時血糖値とは、食事時間に関係なく測定した血糖値です。

たとえば、朝食後、昼食後、夕食前など、食事との時間関係を問わずに測った血糖値を指します。

随時血糖値が200mg/dL以上の場合、糖尿病型と判断されます。

ただし、食後すぐに測った場合と、食後数時間たってから測った場合では、数値の意味が変わることがあります。

そのため、随時血糖値が高かった場合には、空腹時血糖値、HbA1c、必要に応じて75gOGTTなどを組み合わせて、糖尿病かどうかを判断します。

75gOGTTとはどんな検査ですか?

75gOGTTとは、75g経口ブドウ糖負荷試験のことです。

検査用のブドウ糖を含んだ飲み物を飲み、その後の血糖値の上がり方を調べる検査です。

通常の健康診断では、空腹時血糖値やHbA1cが測定されることが多いですが、それだけでは食後の血糖上昇を十分に把握できないことがあります。

たとえば、空腹時血糖値はそれほど高くないのに、食後に血糖値が大きく上がる方がいます。

このような場合、75gOGTTを行うことで、境界型糖尿病や糖尿病型が見つかることがあります。

ガイドラインでは、糖尿病の疑いがある方、境界型、空腹時血糖値が正常高値、HbA1c 5.6%以上の方、肥満や脂質異常症がある方、糖尿病の家族歴が濃厚な方では、積極的にOGTTの施行を検討するとされています。

境界型糖尿病、いわゆる糖尿病予備軍とは?

健康診断で、

「糖尿病予備軍です」
「境界型です」

と言われたことがある方もいらっしゃると思います。

血糖値の状態は、大きく分けると、正常型、境界型、糖尿病型に分けられます。

判定 目安
正常型 空腹時血糖値110mg/dL未満、かつ75gOGTT 2時間値140mg/dL未満
境界型 正常型にも糖尿病型にも当てはまらない状態
糖尿病型 空腹時血糖値126mg/dL以上、または75gOGTT 2時間値200mg/dL以上など

ガイドラインでは、空腹時血糖値110mg/dL未満かつ75gOGTT 2時間値140mg/dL未満を正常型、空腹時血糖値126mg/dL以上または75gOGTT 2時間値200mg/dL以上を糖尿病型、どちらにも含まれないものを境界型としています。

境界型は、まだ糖尿病と診断されない場合もあります。

しかし、境界型は糖尿病型へ進行するリスクが高く、食事、運動、肥満があれば体重管理を行い、定期的に検査することが大切とされています。

つまり、糖尿病予備軍と言われた段階は、落ち込むためのタイミングではありません。
むしろ、今なら対策できる大切なタイミングです。

血液検査で糖尿病と診断される主なパターン

糖尿病と診断される代表的なパターンを整理します。

1つ目は、別の日に行った検査で糖尿病型が2回確認された場合です。
この場合、糖尿病と診断されます。

ただし、2回のうち1回は必ず血糖値で糖尿病型を確認する必要があります。

2つ目は、同じ採血で血糖値とHbA1cがどちらも糖尿病型だった場合です。
この場合、1回の検査でも糖尿病と診断されることがあります。

3つ目は、血糖値が糖尿病型で、糖尿病に典型的な症状がある場合です。

糖尿病に典型的な症状には、以下のようなものがあります。

・のどが渇く
・水をたくさん飲む
・尿の回数が増える
・体重が減る

血糖値が糖尿病型で、これらの症状がある場合には、1回の検査でも糖尿病と診断されることがあります。

ガイドラインでは、血糖値が糖尿病型で、口渇、多飲、多尿、体重減少といった典型的症状、または確実な糖尿病網膜症がある場合、1回の検査でも糖尿病と診断するとされています。

自宅の血糖測定器(SMBG)やCGM(持続血糖測定器)の値で診断できますか?

最近は、自己血糖測定器(SMBG)やCGM(持続測定器)を使って、ご自身の血糖値を確認できる方も増えています。

血糖の変動を知るうえで、これらの機器はとても役立ちます。

ただし、糖尿病の診断に用いる血糖値は、原則として医療機関で測定する静脈血漿血糖値です。

ガイドラインでも、診断に用いる血糖値は静脈血漿で測定し、簡易血糖測定器、CGMを含む測定値は用いないとされています。

自宅で高い血糖値が出た場合は、不安になると思います。
しかし、自己判断で糖尿病と決めつけるのではなく、医療機関で正式な検査を受けることが大切です。

HbA1cが実際の血糖状態とずれることがあります

HbA1cは非常に便利で重要な検査ですが、いつも完璧に実際の血糖状態を反映するとは限りません。

たとえば、以下のような状態では、HbA1cと平均的な血糖値がずれることがあります。

・鉄欠乏状態
・溶血
・肝硬変
・透析
・腎性貧血の治療中
・失血後
・輸血後
・異常ヘモグロビン血症

ガイドラインでも、HbA1cと平均的な血糖値が乖離する可能性のある疾患・状況が示されており、このような場合には必ず血糖値による診断を行うとされています。

そのため、HbA1cだけを見て「大丈夫」「糖尿病だ」と判断するのではなく、体の状態や他の検査結果も合わせて考える必要があります。

健診で血糖値やHbA1cが高いと言われたらどうすればよいですか?

健康診断で血糖値やHbA1cを指摘された場合、まず大切なのは放置しないことです。

特に、次のような場合は医療機関で相談してください。

・HbA1cが6.5%以上だった
・空腹時血糖値が126mg/dL以上だった
・随時血糖値が200mg/dL以上だった
・糖尿病予備軍、境界型と言われた
・のどが渇く、尿が多い、体重が減るなどの症状がある
・家族に糖尿病の方がいる
・以前から血糖値が高めと言われている

血糖値やHbA1cが少し高いだけでは、すぐに強い症状が出ないことも多いです。

しかし、血糖値が高い状態を放置すると、目、腎臓、神経、心臓、脳、足など、全身に影響が出る可能性があります。

糖尿病は、早く気づいて対策することがとても大切です。

健診結果を見るときのチェックポイント

健康診断の結果表を見るときは、次の項目を確認してみてください。

1つ目は、HbA1cです。
6.5%以上であれば糖尿病型です。
5.6%以上でも、状況によってはOGTTを検討することがあります。

2つ目は、(早朝の)空腹時血糖値です。
126mg/dL以上で糖尿病型です。
100〜109mg/dLでも正常高値として注意が必要な場合があります。

3つ目は、随時血糖値です。
200mg/dL以上で糖尿病型です。

4つ目は、過去の検査結果との比較です。
去年よりHbA1cが上がっていないか、血糖値が徐々に高くなっていないかを見ることも大切です。

検査値は、1回だけを見るよりも、流れを見ることが重要です。

糖尿病は血液検査でわかる?まとめ

最後に、この記事のポイントをまとめます。

・糖尿病を疑う重要な手がかりは、血液検査でわかります。
・特に大切なのは、血糖値とHbA1cです。
・空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上は糖尿病型です。
・ただし、HbA1cだけで糖尿病と確定できるわけではありません。
・糖尿病の診断では、血糖値、HbA1c、症状、過去の検査結果などを総合的に判断します。
・境界型、いわゆる糖尿病予備軍の段階でも、生活習慣の見直しと定期検査が大切です。
・自宅の血糖測定器やCGMの値だけで糖尿病と診断することはできません。

健康診断で血糖値やHbA1cを指摘された方は、自己判断で放置せず、一度医療機関でご相談ください。

澤木内科・糖尿病クリニックでは、糖尿病専門医が血液検査の結果をもとに、現在の状態をわかりやすくご説明します。

「糖尿病かどうか心配」
「健診でHbA1cが高いと言われた」
「糖尿病予備軍と言われたが、何をすればよいかわからない」

という方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

日本糖尿病学会 編・著:糖尿病診療ガイドライン2024 第1章 糖尿病診断の指針