1型糖尿病の医療費助成制度(特に成人の方向け)

1型糖尿病について

こんにちは。 澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。

CGMやインスリンポンプを使いたいのですが、医療費が高くならないか心配です。

CGM(血糖センサー)やインスリンポンプなど、1型糖尿病の治療では医療費の負担が大きくなることがあります。 しかし、勤務先の健康保険や年金、大学、自治体などの制度を利用することで、自己負担を軽くできる場合があります。

院長 澤木秀明
院長 澤木秀明
制度は、存在を知らなければ利用できません。まずは、ご自身が対象になる可能性があるかを確認してみましょう。
この記事では、成人の1型糖尿病の方が利用できる可能性のある4つの制度をご紹介します。

  • 障害厚生年金
  • 組合健保・共済組合の付加給付
  • 大学生の医療給付
  • 妊産婦医療費助成制度

制度によって対象者や条件が異なります。「自分も使えるのかな」と思われた場合は、勤務先、加入している健康保険組合、大学、市区町村などへご確認ください。

1. 障害厚生年金

主に会社員や公務員の方が利用できる可能性のある制度です。 糖尿病による障害厚生年金には1〜3級がありますが、この記事では1型糖尿病で対象となることが多い3級を中心に解説します。

条件を満たすと毎月5万円以上受給できる可能性があります

簡単に言うと・・・ 糖尿病による症状や治療の影響で、仕事や日常生活に一定の制限がある方が、要件を満たした場合に年金を受け取れる制度です。 「年金」という名前ですが、老後まで待つ制度ではなく、現役世代でも対象になる場合があります。
  • 対象年齢:原則20歳から64歳
  • 主な対象者:会社員など、厚生年金保険に加入している方
  • 受給額の目安:年間約62万円以上。年収や加入期間などによって増えることがあります
  • 申請先:年金事務所
院長 澤木秀明
院長 澤木秀明
糖尿病があるだけで、障害厚生年金を受給できるわけではありません。治療内容、検査結果、日常生活や仕事への影響などが総合的に確認されます。
障害厚生年金3級の対象となるためには、次の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 厚生年金に加入していた期間中に、糖尿病で初めて医療機関を受診していること
  2. 90日以上、インスリン治療を継続していること
  3. 一定の検査所見や重い低血糖、急性合併症などの条件を満たしていること
  4. 日常生活や労働に一定の制限があること

1. 初診日に関する条件 糖尿病で初めて医療機関を受診した日(初診日)が、厚生年金に加入していた期間中であることが必要です。

初診日時点で会社員や公務員であった ➡対象となります
初診日時点では学生や自営業であった ➡対象となりません
障害の程度がより重い方では、1級または2級の認定基準が適用されるため、ここで紹介している3級とは条件が異なります。

2. インスリン治療に関する条件 90日以上インスリン治療を継続している必要があります。 3. 検査結果や急性合併症に関する条件 次のうちいずれか1つに該当することが必要です。

  1. 血清Cペプチド値が0.3ng/mL未満
  2. 意識障害により自己回復ができない重症低血糖が月1回以上ある
  3. 糖尿病ケトアシドーシスまたは高血糖高浸透圧症候群により、年1回以上入院している

4. 日常生活や仕事への影響 検査値や治療状況だけでなく、仕事や日常生活への影響も確認されます。 一般状態区分表の「イ」または「ウ」に該当することが目安となります。

一般状態区分表 イ:軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるものの、歩行、軽労働、座って行う仕事はできる状態 ウ:歩行や身の回りのことはできるものの、ときどき介助が必要で、軽労働は難しいが、日中の50%以上は起きて生活している状態

参照:日本年金機構「糖尿病の障害認定基準」

申請に必要な主な書類

  • 年金請求書
  • 糖尿病用の診断書
  • 本人名義の通帳
  • 戸籍謄本や住民票など
  • 初診日を確認できる書類

申請書類は、年金事務所または市区町村の窓口で受け取ることができます。

院長 澤木秀明
院長 澤木秀明
医師が作成する診断書には、所定の様式があります。該当する可能性がある方は、必要な書類を準備して受診時にご持参ください。

2. 組合・共済健保の付加給付

企業の健康保険組合や、公務員の共済組合に加入している方が利用できる可能性のある制度です。

月2.5万円を超えた医療費を返してもらえる

簡単に言うと・・・ 1か月の医療費の自己負担額が、健康保険組合や共済組合の定める上限額を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される制度です。

CGMやインスリンポンプを使うと医療費が高くなるため、付加給付があるかどうかは重要な確認事項です。

  • 対象年齢:原則74歳まで。ただし、組合によって異なります
  • 対象者:企業の健康保険組合や公務員の共済組合の加入者と、その扶養家族
  • 自己負担上限の目安:月2万円から2万5,000円程度の組合が多い
  • 申請先:加入している健康保険組合または共済組合(マイナポータルで確認できます)

上限額を超えた分は、通常、受診した月の数か月後に払い戻されます。

使うための主な条件

  • 1か月の窓口負担額が、組合の定める上限額を超えていること
  • 健康保険が適用される診療であること
  • 組合によっては、対象となる医療機関や申請方法が決められていること
自分が加入している健康保険に、付加給付があるのかわかりません。
院長 澤木秀明
院長 澤木秀明
資格確認書やマイナポータルなどで保険者名を確認し、組合のウェブサイトや窓口で「付加給付制度はありますか」と尋ねてみてください。

隔月通院と組み合わせると?

2か月に1回まとめて受診すると、1回あたりの医療費が増え、組合の自己負担上限額を超えやすくなる場合があります。 そのため、病状が安定している方では、付加給付を活用しやすくなる可能性があります。

受診間隔は医療費だけで決めないでください。 血糖値が不安定な方、低血糖が多い方、治療を変更した直後の方、妊娠中の方などは、隔月受診が適さない場合があります。

まずは、加入している健康保険組合や共済組合に、次の点を確認してください。

  • 付加給付制度があるか
  • 1か月あたりの自己負担上限額
  • 申請が必要か、自動的に払い戻されるか
  • 対象となる医療機関に制限があるか

3. 大学生の医療給付

一部の大学では、学生の医療費負担を軽くするための独自の医療給付制度を設けています。

学生の医療費の一部を大学が助けてくれる

簡単に言うと 制度のある大学で学生組合や学生健康保険組合などに加入していると、医療費の一部が後から払い戻されることがあります。
  • 対象者:制度のある大学の学生、大学院生、研究生など
  • 加入条件:学生組合や学生健康保険組合への加入が必要な場合があります
  • 自己負担の目安:1回0円から1,000円、または月1,500円程度など
  • 年間上限:年間20万円などの上限が設けられている場合があります
  • 返金方法:申請後、本人名義の口座へ振り込まれる方式が一般的です

制度の内容は大学ごとに大きく異なります。

確認しておきたいこと

  • 受診できる医療機関が指定されているか(かかりつけの医療機関が給付対象になるか)
  • 申請期限が決められているか
  • 領収書や診療明細書の原本が必要か
  • 学生組合への加入が必要か

学生組合への加入が任意の場合、未加入の状態で受診した医療費は対象にならず、加入後の受診分から対象になることがあります。 在学中の大学の学生課、学生組合、生協などの窓口や公式サイトでご確認ください。

4. 妊産婦医療費助成制度

一部の自治体では、妊娠中や出産後の女性を対象に、医療費の自己負担を軽くする妊産婦医療費助成制度を設けています。

妊娠中の医療費が安くなる自治体の制度

簡単に言うと・・・ 制度のある市区町村に住んでいる妊産婦が、妊娠中や産後の保険診療について、医療費の一部または全部の助成を受けられる制度です。

糖尿病のある妊婦さんでは、通常よりも受診回数や検査回数が多くなることがあります。 そのため、自治体の助成制度が利用できれば、医療費の負担を軽くできる可能性があります。

  • 対象年齢:原則として年齢制限なし
  • 対象者:制度を設けている自治体に住む妊産婦
  • 対象疾患:すべての保険診療が対象となる自治体と、糖尿病、妊娠高血圧症候群、貧血などに限る自治体があります
  • 自己負担:0円、1回530円、月1,500円までなど、自治体によって異なります
  • 助成期間:申請月または妊娠4か月頃から、出産した月の翌月末までなど
院長 澤木秀明
院長 澤木秀明
妊産婦医療費助成は全国一律の制度ではありません。住民票のある市区町村に制度があるかを確認してください。

申請窓口は、お住まいの市区町村にある医療費助成や子育て支援の担当窓口です。 自治体によっては、県外や市外の医療機関を受診した場合でも、いったん窓口で支払い、後日申請することで払い戻しを受けられることがあります。

自治体へ確認する内容

  • 妊産婦医療費助成制度があるか
  • 糖尿病の通院や検査が対象になるか
  • 申請できる期間
  • 県外や市外の医療機関も対象になるか
  • 医療証を提示する方式か、後から申請する方式か

参照:妊産婦医療費助成実施自治体一覧(2025年6月1日現在)

ご注意ください

このページで紹介している制度は、利用できる条件が細かく決められており、すべての方が利用できるわけではありません。 また、対象者、給付額、自己負担上限、申請方法などは、制度改正や加入先によって変わることがあります。 最新の情報は、年金事務所、加入している健康保険組合、大学、市区町村などの窓口へ直接ご確認ください。

澤木内科・糖尿病クリニックにできること

障害厚生年金の申請に必要な糖尿病用診断書の作成は、当クリニックでも対応しています。 年金事務所などで指定の診断書を入手されましたら、受診時に原本をご持参ください。

診断書の作成をご希望の方へ

  • 障害厚生年金用の診断書原本をご持参ください
  • 初診日や治療歴を確認できる資料があれば、あわせてご持参ください
  • 診断書の作成には所定の文書料がかかります
  • 診断書の内容によって、年金の受給が必ず認められるわけではありません
院長 澤木秀明
院長 澤木秀明
該当するかわからない場合は、まず年金事務所や社会保険労務士などの専門窓口へ相談し、必要な書類をご確認ください。

1型糖尿病の治療・CGM・インスリンポンプについて

澤木内科・糖尿病クリニックでは、1型糖尿病の方に対して、医療費制度の相談だけでなく次のような治療や支援にも力を入れています。

  • CGMを活用した血糖管理
  • フリースタイルリブレ2
  • Dexcom G7
  • インスリンポンプ
  • ミニメド780G
  • 妊娠・出産を見据えた血糖管理
  • 中学生・高校生の学校生活に関する相談

治療機器の選択や医療費について不安がある方は、診察時にご相談ください。

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