糖尿病で尿はどう変わる?頻尿・におい・泡立ちの見方

糖尿病の症状

糖尿病で尿はどう変わる?頻尿・におい・泡立ちの見方

こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。

患者さんから、

「最近、尿の回数が増えたのですが、糖尿病でしょうか?」
「夜中に何度もトイレに起きます」
「尿が甘いにおいがする気がします」
「尿が泡立つのは腎臓が悪いサインですか?」

と相談されることがあります。

糖尿病では、血糖値が高くなることで尿の量が増えたり、のどが渇いたり、体重が減ったりすることがあります。
また、糖尿病性腎症が進んでくると、尿にタンパク、特にアルブミンというタンパクが出ることがあります。

ただし、ここで大切なことがあります。

尿が多い、尿がにおう、尿が泡立つからといって、すべてが糖尿病とは限りません。

尿の変化には、脱水、食事、薬、膀胱炎、前立腺の病気、過活動膀胱、腎臓病など、さまざまな原因があります。

この記事では、糖尿病で尿にどのような変化が出るのか、頻尿・におい・泡立ちをどう見ればよいのか、そしてどのような場合に医療機関で相談した方がよいのかを、糖尿病専門医の立場からわかりやすく解説します。

糖尿病で尿が増えるのはなぜ?

糖尿病で尿が増える大きな理由は、血糖値が高くなりすぎると、尿の中に糖が出てくることがあるためです。

血液中の糖が多くなりすぎると、腎臓で糖を回収しきれなくなり、尿の中に糖が出ます。
尿の中に糖が多くなると、水分も一緒に引っ張られるため、尿の量が増えます。

その結果、

尿の回数が増える
尿の量が増える
夜中にトイレに起きる
のどが渇く
水分をたくさん飲む
体重が減る

といった症状が出ることがあります。

ADA 2026でも、糖尿病の古典的な高血糖症状として、多尿、口渇、原因不明の体重減少が挙げられています。

つまり、尿が増えることは、高血糖に気づくきっかけになることがあります。

「頻尿=糖尿病」とは限りません

尿の回数が多いと、糖尿病を心配される方は多いです。

しかし、頻尿の原因は糖尿病だけではありません。

たとえば、

水分を多く飲んでいる
コーヒーやお茶、アルコールが多い
寒さで尿が近い
膀胱炎などの尿路感染症
過活動膀胱
前立腺肥大症
睡眠障害
利尿薬などの薬の影響
SGLT2阻害薬の影響

などでも尿の回数は増えます。

特に大切なのは、尿の回数だけではなく、ほかの症状を一緒に見ることです。

たとえば、

尿が多い + のどが渇く
尿が多い + 体重が減る
尿が多い + 強いだるさがある
尿が多い + 健診で血糖値やHbA1cが高い

このような場合は、糖尿病や高血糖を考えて、血液検査で確認することが大切です。

夜間頻尿は糖尿病のサインですか?

夜中に何度もトイレに起きる場合も、糖尿病が原因のことがあります。

血糖値が高く、尿糖が多く出ると、夜間にも尿量が増え、夜間頻尿につながることがあります。

ただし、夜間頻尿も糖尿病だけで起こるわけではありません。

寝る前の水分摂取が多い
アルコールを飲む
睡眠が浅い
加齢による変化
前立腺肥大症
心不全やむくみ
過活動膀胱
睡眠時無呼吸症候群

なども原因になります。

そのため、夜間頻尿だけで糖尿病と決めつけるのではなく、血糖値、HbA1c、尿検査、腎機能、必要に応じて泌尿器科的な評価を組み合わせて判断することが大切です。

尿が甘いにおい・変なにおいがする時は?

「尿が甘いにおいがする」と言われることがあります。

血糖値がかなり高く、尿に糖が多く出ている場合、尿のにおいがいつもと違うと感じる方もいます。
また、ケトン体が出ている場合には、甘酸っぱいようなにおいを感じることがあります。

ただし、尿のにおいは非常にあいまいです。

尿のにおいは、

水分不足で尿が濃くなっている
食べ物の影響
ビタミン剤や薬の影響
膀胱炎などの感染
尿の放置時間
体調不良

などでも変わります。

ですので、尿のにおいだけで糖尿病かどうかを判断することはできません。

「尿のにおいが気になる」だけでなく、

のどが渇く
尿量が多い
体重が減っている
強いだるさがある
吐き気がある
息が荒い
意識がぼんやりする

といった症状がある場合は、早めに医療機関で相談してください。

特に、1型糖尿病の発症時や、インスリン不足が強い状態では、糖尿病ケトアシドーシスという緊急性の高い状態になることがあります。自己判断で様子を見すぎないことが大切です。

尿の泡立ちは糖尿病性腎症のサインですか?

尿の泡立ちを心配される方も多いです。

尿が泡立つ場合、尿にタンパクが出ている可能性があります。
糖尿病では、長年の高血糖や高血圧などの影響で腎臓に負担がかかり、糖尿病性腎症を起こすことがあります。

糖尿病性腎症では、早期には自覚症状がほとんどありません。
しかし、尿検査で尿アルブミンが増えてくることがあります。

日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024では、糖尿病性腎症について、典型的には糸球体障害に起因した尿タンパク、特に尿アルブミンの出現と、その増加に伴う腎機能低下が重要であると説明されています。尿中アルブミン排泄量、つまりアルブミン・クレアチニン比、UACRの測定が診断に用いられます。

ただし、ここも大切です。

尿が泡立つ=必ず腎臓が悪い、ではありません。

尿の勢いが強い、便器の形、水分不足で尿が濃い、洗剤成分が残っているなどでも泡立って見えることがあります。

一方で、泡立ちが毎回強い、泡がなかなか消えない、むくみがある、血圧が高い、健診で尿タンパクを指摘された、腎機能が悪いと言われた、という場合は、尿検査と血液検査で確認することをおすすめします。

糖尿病性腎症は「見た目」ではなく検査で確認します

糖尿病性腎症は、尿の見た目だけでは判断できません。

大切なのは、

尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)
尿タンパク
血清クレアチニン
eGFR
血圧
血糖コントロール
脂質
喫煙の有無

などを総合的に見ることです。

ADA 2026では、1型糖尿病では罹病期間5年以上、2型糖尿病では治療内容にかかわらず、少なくとも年1回、尿アルブミン/クレアチニン比とeGFRを評価することが推奨されています。

糖尿病性腎症は、早い段階では症状が出にくい病気です。
だからこそ、「尿が泡立つかどうか」よりも、定期的な尿検査と血液検査が大切です。

SGLT2阻害薬を飲んでいる方は尿が増えることがあります

糖尿病治療薬の中に、SGLT2阻害薬という薬があります。

SGLT2阻害薬は、尿の中に糖を出すことで血糖を下げる薬です。
心臓や腎臓を守る効果も期待され、糖尿病治療で重要な薬の一つです。

一方で、薬の作用として尿量が増えることがあります。

ADA 2026では、SGLT2阻害薬は尿量を増やすことがあり、尿失禁の症状について開始前後に確認すること、また性器真菌感染症が増えること、尿路感染症がわずかに増える可能性があることが記載されています。

SGLT2阻害薬を飲んでいて、

尿の回数が増えた
夜間頻尿がつらい
陰部のかゆみや痛みがある
排尿時に痛みがある
発熱がある
体調不良や食事摂取不良がある

という場合は、主治医に相談してください。

薬は勝手に中止せず、体調や腎機能、脱水リスク、感染の有無を見ながら判断することが大切です。

尿の色が濃い・赤い・濁る場合は?

糖尿病の記事ではありますが、尿の色についても大切です。

尿が濃い黄色
→ 水分不足、発汗、ビタミン剤などでよくあります。

尿が赤い・茶色い
→ 血尿の可能性があります。膀胱炎、尿路結石、腎臓病、腫瘍なども考えます。

尿が白く濁る
→ 尿路感染、結晶、膿尿などの可能性があります。

糖尿病の方は、感染症が重くなりやすい場合があります。
排尿時痛、残尿感、発熱、背中の痛み、尿の濁り、血尿がある場合は、糖尿病だけで説明せず、尿路感染症や腎盂腎炎、泌尿器科疾患も考える必要があります。

また、ご提示いただいた糖尿病診療ガイドライン2024のトピックス章では、糖尿病と癌の関係が扱われており、糖尿病と一部の癌リスクとの関連も議論されています。 尿に血が混じる、肉眼的血尿がある、尿の異常が続く場合は、糖尿病だけでなく泌尿器科疾患も含めて評価することが大切です。

こんな尿の変化は早めに相談してください

次のような場合は、早めに医療機関で相談してください。

のどが渇いて尿が多い
尿量が増えて体重が減っている
夜間頻尿が急に増えた
健診で血糖値やHbA1cが高いと言われた
尿が泡立ち、むくみや高血圧もある
尿タンパクや尿アルブミンを指摘された
尿に血が混じる
排尿時痛、発熱、背中の痛みがある
SGLT2阻害薬を飲んでいて陰部症状や尿路感染症状がある
強いだるさ、吐き気、意識がぼんやりする

特に、尿が多い、のどが渇く、体重が減る、強いだるさがある場合は、高血糖が強くなっている可能性があります。
放置せず、血糖値や尿ケトンなどの確認が必要になることがあります。

尿の変化を感じた時に確認したい検査

尿の変化が気になる場合、医療機関では次のような検査を行います。

血糖値
HbA1c
尿糖
尿ケトン
尿タンパク
尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)
血清クレアチニン
eGFR
尿沈渣
尿培養
必要に応じて泌尿器科的検査

糖尿病かどうかを見るには、尿糖だけでは不十分です。
糖尿病の診断は、血糖値やHbA1cをもとに判断します。

日本糖尿病学会ガイドライン2024でも、糖尿病の診断は空腹時血糖値、75gOGTT 2時間値、HbA1cなどを組み合わせて判断することが示されています。

つまり、尿の変化はきっかけにはなりますが、診断は血液検査と尿検査を合わせて行うことが大切です。

糖尿病で尿が変わる時のまとめ

糖尿病と尿の変化について、最後に大切なポイントをまとめます。

尿が多い、のどが渇く、体重が減る場合は、高血糖のサインのことがあります。

頻尿や夜間頻尿は糖尿病でも起こりますが、膀胱炎、前立腺肥大、過活動膀胱、睡眠障害、薬の影響などでも起こります。

尿のにおいだけで糖尿病かどうかを判断することはできません。

尿の泡立ちはタンパク尿の可能性がありますが、見た目だけでは判断できません。UACRやeGFRで確認することが大切です。

SGLT2阻害薬を飲んでいる方では、尿量増加、尿失禁、性器感染、尿路感染に注意が必要です。

血尿、排尿時痛、発熱、背中の痛み、強いだるさがある場合は、糖尿病以外の病気も含めて早めに相談してください。

尿の変化は、体からの大切なサインです。
ただし、尿の見た目やにおいだけで自己判断するのは危険です。

気になる症状が続く場合は、血糖値、HbA1c、尿検査、腎機能検査を受け、原因を確認しましょう。

澤木内科・糖尿病クリニックでは、糖尿病専門医として、血糖管理だけでなく、糖尿病性腎症や尿の異常についても、患者さんにわかりやすく説明しながら診療を行っています。

尿の回数、におい、泡立ち、健診での尿検査異常が気になる方は、自己判断で放置せず、医療機関にご相談ください。

参考文献

日本糖尿病学会 編・著:糖尿病診療ガイドライン2024
1章 糖尿病診断の指針
9章 糖尿病性腎症
トピックス:糖尿病と癌
American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2026.