ミニメド™780Gインスリンポンプとセンサーの使用を開始した患者さんの声

「780GのAIDになって1型糖尿病の治療が随分楽になった。」
「夜もインスリンが効きすぎて、低血糖を起こすことが最近なく、よく寝れるようになった。」
「指先穿刺をして、自己血糖測定をしていたが、780Gインスリンポンプのインスリン自己投与制御(AID)を活用したら
ほとんど指先穿刺をして自己血糖測定せずに済むようになった」
「赤ちゃんが欲しい、妊娠して、出産したい。1型糖尿病でも厳格に血糖コントロールが可能になった、ミニメド780Gで治療したい。」

 

ミニメド™780GインスリンポンプによるSAP療法とは

ミニメド™780Gインスリンポンプは、CGM(持続血統モニター)とインスリンポンプが連動するインスリン自己投与制御(automated insulin delivery: AID)
が備わっています。
インスリンポンプの注入量が一部自動調整できるため、AIDといわれます。
また、高血糖時に自動で補正ボーラスを注入できる機能を備えた使い方は、AHCL (Advanced Hybrid Closed Loop)ともいわれます。
センサーグルコース値(センサーで測定した糖濃度)を70-180mg/dLの範囲内に保つ
ように設計されています。
センサーはトランスミッターに接続し、センサーグルコース値をインスリンポンプにしらせます。

インスリンポンプのミニメド™780Gシステムができること

目標血糖値の設定

目標血糖値は100,110,120mg/dLから選択が可能です。
目標血糖値は100mg/dlにするのが標準になりつつあります。
当初は目標血糖値が100mg/dlだと低すぎるのではと懸念しましたが、
見事に調整してくれます。
それでも低血糖の懸念がある場合、低血糖をさけるために取る方法の1つが
目標血糖値を120mg/dlにしたり、110mg/dlにしたりして、バランスを図ることです。
一時目標血糖値を150mg/dlにして、運動時を乗り切る方もいらっしゃいます。

基礎インスリン注入の自動調整

過去のインスリンの注入履歴とセンサーグルコース値を
もとに基礎インスリン注入を自動調整します。
最大基礎レートに達し、センサグルコース値が120mg/dLを超えている場合、
システムは5分毎に自動補正(1時間に最大12回)を判断してくれます。

追加インスリン(ボーラスインスリン)注入について

食事などのボーラスインスリンは糖質量を入力することで、計算してくれて、注入されます。
ざっくりでもいいので、食事の糖質量を推定が必要です。
糖質を数えることを、カーボカウントといいます。
食べる予定の食品のカーボカウントをして、インスリン量を決定することで、
食後の血糖値上昇に配慮した食事にすることができます。

血糖値の測定回数は激減します。

スマートガードでは血糖値を入力する必要がなく、センサーグルコース値(SG値)に基づいてインスリン注入量を調整します。
スマートガード機能が無効である場合はマニュアルモードで動作します。
ミニメド™780Gシステムでは較正または糖尿病治療を決定するための指先穿刺は必要ありません。
グルコース値とトレンド矢印の組み合わせに基づいて決定されます。

対象となる方は

ミニメド780Gインスリンポンプの対象患者は、皮下投与のインスリンに反応する小児、成人、青年です。
スマートガード機能の対象者は、1日のインスリン総量か、8単位以上の1型糖尿病患者で7歳以上を対象としています。
ミニメド™780Gシステムは選択可能な速度で基礎インスリンを継続的に注入し、選択可能な量のボーラスインスリンを投与するために使用されます。
スマートガードテクノロジーが搭載され、持続グルコースモニター(CGM)に基づいてインスリン注入を自動調整するよう設定することができます。
グルコースの値が事前設定した閾値を下回る、
または下回ることが予想される場合は、インスリン注入を一時停止することができます。

センサーの装着部位

2歳から17歳の患者さんについては、上腕背面と臀部へのセンサー挿入が承認されています。
18歳以上の患者さんについては、腹部と上腕背面へのセンサー挿入が承認されています。
装着部位が限定的なので、インスリン皮下硬結ができやすいので
ペン型インスリン注射のときより、注意を払って装着部位を選んでもらいます。

インスリン投与及びポンプの使用に関連したリスク

低血糖や高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、てんかんなどの発作、昏睡状態、死亡が挙げられています。
機械を過信せず、おかしいなと思ったら指先穿刺をして血糖値を測定する。

インスリン投与が中断すると、
高血糖と糖尿病性ケトアシドーシスに至る可能性のあるのが回路閉塞です。
回路の閉塞が考えられる場合は、回路交換をする。

ポンプがおかしいときには、すぐにペン型のインスリン注射を行うことを理解しておく必要があります。

インスリンポンプ注入セットに関連するリスクは、

限局性感染症、皮膚の炎症、または発赤、あざ、不快感または痛み、
出血、刺激感、かぶれがあげられます。
保湿剤、剥離剤、外用薬を用いたり、対処法を模索することになります。

安全に澤木内科・糖尿病クリニックの外来でインスリンポンプのミニメド780Gシステムを開始するには

あわてず、いそがず、あなどらず、学ぶことが多いので、確実に扱いを理解してもらいながら、数ヶ月かけて
導入するケースが多いです。
一気にミニメド780G(AID)を導入したケースもありますが、学習量が多くなると大変ですので、外来導入の場合は
安全第一でお願いしております。

1)デクスコムG7やフリースタイルリブレ2、ガーディアン™4スマートCGMシステムなどの
持続血糖モニター(CGM)に慣れる

ペン型インスリン注射も確実に実施できる状況になっていただく。
また、簡単にでもいいので、カーボカウントに取り組んでいただく。

2)ペン型インスリンのうち、基礎インスリン注射は継続して、
インスリンポンプには追加うち(ボーラスインスリン)のみ食事うちや高血糖時に早送りをすることで、
インスリンポンプの取り扱いになれてもらう。

3)習熟度に応じて、基礎インスリン注射は減量、中止していき、完全にポンプに注射をまかせる。
持続血糖モニター(CGM)もポンプに連動するものへ切り替えて、ミニメド780Gをインスリン自動投与制御(AID)
に安全に移行していただく。

 

カロナール(アセトアミノフェン)を使用するときの注意点

アセトアミノフェンを服用すると、センサーのグルコースの値が高く出てしまいます。

解熱剤の選択で可能であればロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)を選択して対応する場合もあります。

実際より高く測定されると、インスリンの過剰投与となって、低血糖を引き起こす恐れがあります。
血糖値を確認するため、追加で血糖自己測定器の測定値を使用してください。

スマートガード機能が有効なときにはカロナールを服用した際、最大8時間程度、1時目標血糖値に目標血糖値を設定する方法も検討する場合があります。
また、食事ボーラスや補正ボーラスを計算するときにはグルコース値ではなく、指先穿刺をして、血糖値を使用してくださいと説明しております。