糖尿病になると血糖値が上がりやすく下がりにくくなるので、血糖コントロールが大切になります。
糖質に偏った食事は血糖値を急激に上げてしまうので、栄養バランスには注意が必要です。
そのため、栄養バランスに注意して下さっている方は多いと思います(^^)/
では、塩分はどうでしょうか?
糖尿病だからと言って全員が塩分を制限する必要はありませんが、制限した方が良い方もいらっしゃいます!
どのような方だと、塩分を制限した方が良いのでしょうか?
今回のブログでは、そこの所を詳しくお話していこうと思います☺

現状、どれぐらい塩分を摂っているのか
令和5年「国民健康・栄養調査」の結果によると、食塩摂取量の平均値は9.8gであり、男性10.7g、女性9.1gでした。この10年間でみると、男女とも減少しています。
しかし、「日本人の食事摂取基準」において、男性の1日の食塩摂取量の目標値が7.5g未満、女性が6.5g未満であることから考えると、まだまだ多いというのが現状です。
塩分の制限が必要となると、1日6g未満を目標に減塩することになります!
塩分制限が必要な人とは?
では、塩分制限が必要な人とはどのような人なのでしょうか。
①高血圧
②心不全や心筋梗塞などの心疾患
③糖尿病性腎症(3期以降)やネフローゼ症候群などの腎疾患
などの方が対象となります。
つまり、糖尿病に上記の病気を合併している場合、塩分制限が必要となります。
糖尿病性腎症は、血糖コントロールが悪く糖尿病が悪化すると併発する合併症です。
糖尿病性腎症には第1期(正常アルブミン尿期)、第2期(微量アルブミン尿期)、第3期(顕性アルブミン尿期)、第4期(末期腎不全期)、第5期(腎代替療法期)まであり、3期以降になると塩分制限が必要となります。
糖尿病と高血圧の関係
そもそも血圧は、どのように決まるのでしょうか。
血圧は、①血流量と②末梢血管抵抗の2つの要因で決まります。
血圧=①血流量×②末梢血管抵抗
そのため、①血流量と②末梢血管抵抗のどちらが上がっても血圧は高くなります。
糖尿病のある人が高血圧を合併する確率は、糖尿病のない人よりも2倍高くなっています。
これはなぜなのでしょうか。
- インスリンの効きが悪くなると血糖値が上がるため、膵臓からのインスリン分泌が多くなります。
- インスリンが多い状態が続くと交感神経の緊張が高まることにより、血液中のナトリウム濃度が高まります。これにより、腎臓はナトリウム濃度を薄めようと血液量を増やし、①血流量が増えます。
- また、交感神経の緊張が高まると、血管が収縮し、②抹梢血管抵抗が高まります。
上記の機序により、糖尿病の方は①血流量②抹梢血管抵抗の両方が高まりやすいため、高血圧になりやすいのです(+o+)
糖尿病がある人の降圧目標
以前までは糖尿病がある方の降圧目標は、糖尿病が無い方と比べると厳しくなっていました。
しかし、2025年に高血圧治療ガイドラインが改訂され、年齢や病気の有無に関わらずすべての成人で降圧目標が統一されました。
診察室血圧 130/80mmHg未満
家庭血圧 125/75mmHg未満
糖尿病と高血圧の両方がある方は、脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクがとても高いので、予防のためにしっかり血圧を下げる必要があります!
血圧を下げるには?
血圧を下げる必要がある場合、どうすれば良いのでしょうか?
もちろん薬もありますが、しっかりと血圧を下げるためには生活習慣を改善することも大切です(^^)/
食事の面では減塩に注意することが大切となってきます!(^^)!
減塩するには?
減塩が必要となると、塩分1日6g未満を目標にコントロールしていきます。
塩は様々な物に含まれており、意識しないと目標を達成することはできません( `―´)ノ
調味料を目分量で入れている方は、まず計量スプーンを使うことから始めてみましょう
①塩分が多い物は控えめに
塩分が多い物は色々ありますが、その一部を以下の表にまとめました☺
| 食べ物 | 塩分量(g) |
|---|---|
| しょうゆラーメン1杯 | 4.5 |
| きつねうどん1杯 | 3.0 |
| 梅干し1個 | 2.2 |
| 味噌汁1杯 | 2.0 |
| マアジ開き干し1尾 | 1.4 |
| ウインナーソーセージ1本 | 0.5 |
| ロースハム1枚 | 0.4 |
汁物や漬物、加工品には、多くの塩分が含まれているということがよく分かりますね((+_+))

②調味料をかけすぎない、出汁を効かせる
調味料にも塩分は多く含まれているので、かけすぎには注意が必要です。
必要な分だけで食べられるように、かけて食べるより付けて食べるようにしましょう。
また、出汁の旨味や柑橘類、香味野菜(みょうがなど)、ワサビなどを上手く活用すると、塩分が少なくても美味しく食べることができます(^^)/

③汁は残す
ラーメンや味噌汁などの汁物には、多くの塩分が含まれます。
汁物の汁を残すだけで2~3gくらいの食塩を減らすことができます。
また、具沢山の汁物にすることで、器に盛る汁の量が少なくなり、減塩に繋がります。
④野菜を積極的にとる
もし塩分を摂りすぎてしまっても、それを緩和する方法が一つあります!
それは、カリウムを摂ることです( ◠‿◠ )
カリウムは、余分な塩分を体外に排出する働きがあります。
カリウムは、野菜や果物に多く含まれています。
カリウムを多く含む果物
| 食品名と1日摂取量 | カリウム量(mg) |
|---|---|
| メロン 中1/2個(200g) | 680 |
| キウイフルーツ 中1個半(150g) | 435 |
| バナナ 1本(100g) | 360 |
| もも 大1個(200mg) | 360 |
| 柿 中1個(150mg) | 320 |
果物には糖質が含まれているので、摂りすぎには注意が必要です。1日摂取量を目安に食べるようにしましょう(^-^)
カリウムを多く含む野菜、根菜類
| 食品名と1日摂取量 | カリウム量(mg) |
|---|---|
| 里芋(水煮)中1個(80g) | 448 |
| さつまいも(蒸し)50g | 245 |
| キャベツ(生)中葉2枚(100g) | 200 |
| レタス(生)中葉4枚(100g) | 200 |
| 水菜(ゆで)1/4束50g | 185 |
| じゃがいも(水煮)中1/2個(50g) | 170 |
| 白菜(ゆで)中1枚(100g) | 160 |
| キャベツ(ゆで)中葉2枚(100g) | 92 |
カリウムは野菜や根菜類にも多く含まれますが、水溶性のため茹でたり水さらしをすると減ります。カリウムを効率よく摂りたい時は、生で食べられる物を選びましょう(^^♪また、茹でずにレンジ調理や蒸し料理、焼き料理などで調理するとカリウムの流失が少なくなります( ◠‿◠ )
飲み物に含まれるカリウム量
| 食品名と1日摂取量 | カリウム量(mg) |
|---|---|
| 玉露100ml | 340 |
| 牛乳100ml | 150 |
| コーヒー(浸出液100ml) | 65 |
| ほうじ茶100ml | 24 |
| 紅茶(浸出液100ml) | 8 |
| 麦茶100ml | 6 |
カリウムは様々な飲み物にも含まれています。お茶に関しては、茶葉の量や浸出時間によってカリウムに大きな差があります。濃いお茶は、その分カリウムが多く含まれています。
※腎臓が悪い方などカリウム制限が必要な人は注意しましょう!
まとめ
糖尿病だからと言って、皆が塩分制限の必要はないということが分かりましたね!
でも、塩分が濃いおかずだとご飯🍚が進むので、血糖コントロールのためにも薄味の方が良いと言えます(^^)/
いきなり薄味にするのは難しいという方は、野菜を積極的に食べることから始めてみましょう。
野菜から食べることで血糖値が下がり、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)も下がっていきますよ☺

