こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。
糖尿病の患者さんから、よくこのような質問を受けます。
「糖尿病ですが、朝ごはんは何を食べたらいいですか?」
「朝はパンとコーヒーだけですが、大丈夫ですか?」
「ご飯は食べない方がいいですか?」
「果物やヨーグルトは朝に食べてもいいですか?」
「血糖値を上げにくい朝食の組み合わせを知りたいです」
朝ごはんは、1日の血糖値の流れを左右しやすい食事です。
特に朝は、前日の夕食から時間が空いていることが多く、体のホルモンの影響で血糖値が上がりやすい方もいます。
また、忙しいために、菓子パンだけ、白いパンだけ、おにぎりだけ、甘いカフェオレだけ、という朝食になりやすい時間帯でもあります。
しかし、糖尿病の朝ごはんで大切なのは、
「主食を完全に抜くこと」
ではありません。
大切なのは、
糖質の量を見ながら、たんぱく質・食物繊維・脂質を上手に組み合わせること
です。
この記事では、糖尿病の方が朝ごはんを選ぶ時に、どのような組み合わせにすると血糖値が上がりにくいのかを、糖尿病専門医の立場からわかりやすく解説します。
- 糖尿病の朝ごはんで大切なのは「抜く」より「組み合わせる」ことです
- 血糖値を上げにくい朝食の基本は3つです
- 主食は食べてもいいですが、量と種類を考えましょう
- 朝食で避けたいのは「糖質だけの朝ごはん」です
- ご飯派のおすすめ朝食
- パン派のおすすめ朝食
- ヨーグルトや果物は朝に食べてもいいですか?
- オートミールは糖尿病の朝食に向いていますか?
- ロカボ食品や低糖質パンは使ってもよいですか?
- 人工甘味料は朝食に使ってもよいですか?
- 朝食の栄養成分表示はここを見ましょう
- コンビニで選ぶならこの組み合わせです
- 朝ごはんを食べる時間も大切です
- CGM(フリースタイルリブレ2、デクスコムG7などの持続血糖測定器)を使うと、自分に合う朝食がわかりやすくなります
- こんな方は朝食を自己判断で変えすぎないでください
- 糖尿病の朝ごはんのまとめ
- 参考文献
糖尿病の朝ごはんで大切なのは「抜く」より「組み合わせる」ことです
糖尿病になると、
「ご飯は食べてはいけない」
「パンは血糖値が上がるからダメ」
「朝食は抜いた方が血糖値が下がるのでは」
と考えてしまう方がいます。
しかし、朝ごはんをただ抜けばよい、主食を完全にゼロにすればよい、という単純な話ではありません。
朝食を抜くと、昼食で空腹が強くなり、食べすぎてしまうことがあります。
また、昼食後の血糖値が大きく上がる方もいます。
インスリンやSU薬など、低血糖を起こす可能性のある薬を使っている方では、朝食を抜くことで低血糖のリスクが高まることもあります。
糖尿病の食事療法では、患者さん一人ひとりの体格、活動量、薬、合併症、生活リズムに合わせて考えることが大切です。
ADA 2026でも、糖尿病の食事計画に理想的な炭水化物・たんぱく質・脂質の割合は一律には決められず、現在の食習慣、好み、代謝目標に応じて個別化すべきとされています。
つまり、朝ごはんも
「禁止」より「調整」
「我慢」より「続けやすい組み合わせ」
が大切です。
血糖値を上げにくい朝食の基本は3つです
糖尿病の方が朝ごはんを考える時は、まず次の3つを意識してください。
1つ目は、糖質量を確認することです。
ご飯、パン、麺、シリアル、果物、ジュース、甘いヨーグルトなどには糖質が含まれます。糖質は血糖値を上げる主な栄養素です。
2つ目は、たんぱく質を足すことです。
卵、魚、納豆、豆腐、チーズ、ヨーグルト、鶏肉、大豆製品などを加えると、満足感が出やすくなります。
3つ目は、食物繊維を足すことです。
野菜、きのこ、海藻、豆類、もち麦、オートミール、全粒粉パンなどは、食後血糖の上がり方をゆるやかにする助けになります。
つまり、朝食は
「糖質だけで終わらせない」
ことが大切です。
たとえば、
白いパンだけ
菓子パンだけ
おにぎりだけ
果物だけ
甘いカフェオレだけ
という朝食は、糖質に偏りやすく、血糖値が上がりやすいことがあります。
一方で、
ご飯+納豆+卵+味噌汁
パン+卵+サラダ+無糖ヨーグルト
オートミール+無糖ヨーグルト+ナッツ
ロカボパン+チーズ+野菜スープ
のように組み合わせると、血糖値の上がり方を抑えやすくなります。
主食は食べてもいいですが、量と種類を考えましょう
糖尿病の朝ごはんで、主食を完全に禁止する必要はありません。
ただし、主食の量と種類は大切です。
ご飯、パン、麺、シリアルなどは、血糖値を上げる糖質を多く含みます。
そのため、朝食で主食を食べる場合は、まず量を決めることが大切です。
たとえば、ご飯なら、
茶碗に軽く1杯
いつもの量より少し減らす
白米だけでなく、もち麦や雑穀を混ぜる
という工夫があります。
パンなら、
食パンは枚数を決める
菓子パンではなく、食パンや全粒粉パンを選ぶ
ジャムやはちみつをたっぷり塗らない
ロカボパンや低糖質パンを活用する
という工夫があります。
ADA 2026では、糖質を含む食品について、できるだけ加工度が低く、栄養密度が高く、食物繊維を含むものを重視することが示されています。
つまり、主食は
「食べるか、食べないか」
だけでなく、
「何を、どれくらい、何と一緒に食べるか」
で考えるのが現実的です。
朝食で避けたいのは「糖質だけの朝ごはん」です
糖尿病の方で注意したいのは、糖質だけに偏った朝ごはんです。
たとえば、
菓子パンと甘いカフェオレ
白い食パンとジャムだけ
おにぎり2個だけ
シリアルと加糖ヨーグルトだけ
バナナとジュースだけ
砂糖入りの缶コーヒーだけ
このような朝食は、短時間で糖質が入りやすく、血糖値が大きく上がることがあります。
特に、甘い飲み物は注意が必要です。
砂糖入りのカフェオレ、ジュース、甘い缶コーヒー、加糖の乳酸菌飲料などは、噛まずに飲めるため、血糖値が急に上がりやすくなります。
ADA 2026では、糖尿病または糖尿病リスクのある方に、水を他の飲み物より優先すること、砂糖入り飲料やジュースを水または低カロリー・ゼロカロリー飲料に置き換えることが推奨されています。
朝の飲み物は、基本的には
水
無糖のお茶
ブラックコーヒー
無糖のカフェオレ
無糖の炭酸水
などを選ぶとよいです。
ご飯派のおすすめ朝食
ご飯派の方は、白米だけで終わらせないことが大切です。
おすすめしやすい組み合わせは、
ご飯+納豆+卵+野菜入り味噌汁
ご飯+焼き魚+海藻の味噌汁+小鉢
もち麦ご飯+豆腐+野菜スープ
ご飯少なめ+納豆+サラダチキン+味噌汁
です。
ご飯は糖質を含みますが、納豆、卵、魚、豆腐、野菜、海藻を組み合わせることで、糖質だけの朝食になりにくくなります。
特に味噌汁に、野菜、きのこ、海藻、豆腐を入れると、朝から食物繊維とたんぱく質をとりやすくなります。
ただし、味噌汁は塩分が多くなりやすいので、高血圧や腎臓病がある方は、汁を全部飲み干さない、具を多くして味噌を少なめにするなどの工夫も大切です。
パン派のおすすめ朝食
パン派の方は、パンの種類と一緒に食べるものが大切です。
おすすめしやすい組み合わせは、
食パン+ゆで卵+サラダ+無糖ヨーグルト
全粒粉パン+チーズ+野菜スープ
ロカボパン+卵+サラダチキン
低糖質パン+ツナ+野菜
パン少なめ+オムレツ+きのこスープ
です。
注意したいのは、菓子パンです。
菓子パンは、パンというよりも、砂糖や脂質を多く含む「お菓子」に近いものもあります。
毎朝の習慣として菓子パンを食べると、血糖値や体重に影響しやすくなります。
ただし、ここで誤解してほしくないのは、菓子パンを一生食べてはいけないという意味ではありません。
大切なのは、
毎日の朝食にしないこと
食べるなら量と頻度を決めること
他の食事で調整すること
食後血糖が上がりやすい方は控えめにすること
です。
糖尿病の食事療法は、長く続けるものです。
「絶対禁止」ではなく、血糖値に配慮しながら上手に付き合うことが大切です。
ヨーグルトや果物は朝に食べてもいいですか?
ヨーグルトや果物は、朝食に取り入れやすい食品です。
ただし、選び方には注意が必要です。
ヨーグルトは、
無糖ヨーグルト
ギリシャヨーグルト
低糖質タイプ
たんぱく質が多いタイプ
を選ぶとよいです。
反対に、砂糖入りヨーグルト、甘いフルーツソース入りヨーグルト、飲むヨーグルトは糖質が多いことがあります。
果物は、ビタミンや食物繊維を含みますが、糖質も含みます。
食べるなら、
ジュースではなく果物そのもの
1回量を決める
果物だけで朝食を済ませない
ヨーグルトやナッツ、卵などと組み合わせる
ことが大切です。
たとえば、バナナ1本だけで朝食を済ませるより、
バナナを半分にして、無糖ヨーグルトやナッツと一緒に食べる
方が、糖質だけに偏りにくくなります。
オートミールは糖尿病の朝食に向いていますか?
オートミールは、食物繊維を含むため、糖尿病の朝食に使いやすい食品の一つです。
ただし、オートミールにも糖質はあります。
そのため、量を決めずにたくさん食べると血糖値が上がることがあります。
おすすめは、
オートミールを少量から試す
無糖ヨーグルトや牛乳、豆乳と合わせる
ナッツや卵など、たんぱく質を足す
砂糖やはちみつをたっぷり入れない
食後血糖が上がりやすい方はCGMや血糖測定で確認する
という方法です。
オートミールは「健康によい」と言われることがありますが、糖尿病の方にとっては、やはり量と組み合わせが大切です。
ロカボ食品や低糖質パンは使ってもよいですか?
ロカボ食品や低糖質パンは、上手に使えば便利です。
ロカボは、糖質をゼロにする考え方ではなく、おいしく楽しく適正糖質を目指す考え方です。
ゆるやかな糖質制限では、1食あたり糖質20〜40gを目安とする「適正糖質」の考え方を提唱されています。
朝食でパンを食べたい方にとって、低糖質パンやロカボパンは、血糖値に配慮しながらパンを楽しむ選択肢になります。
ただし、ロカボ食品にも注意点があります。
糖質が少なくてもカロリーが高いことがあります
脂質が多い商品もあります
食べすぎれば総エネルギーが増えます
商品によって糖質量に差があります
血糖値の上がり方には個人差があります
つまり、ロカボ食品は、
「食べ放題の食品」
ではなく、
「選び方を助けてくれる食品」
と考えるのがよいです。
人工甘味料は朝食に使ってもよいですか?
人工甘味料、つまり非栄養性甘味料については、賛否があります。
患者さんからも、
「人工甘味料は体に悪いのでは?」
「ゼロカロリー飲料は飲まない方がいいですか?」
「血糖値が上がらないなら、毎日たくさん使ってもいいですか?」
と聞かれることがあります。
ここは、極端に考えすぎないことが大切です。
ADA 2026では、非栄養性甘味料は、砂糖入り食品や飲料の代わりとして、適度に、短期間使うことで、総カロリーや炭水化物の摂取を減らす選択肢になり得るとされています。
つまり、人工甘味料は
「敵」でも「万能」でもありません。
砂糖入りのカフェオレや甘い飲み物を毎日飲んでいる方が、無糖や低糖質の飲み物に置き換えるために人工甘味料を使うことは、現実的な工夫の一つです。
一方で、人工甘味料を使っているから何でも健康になるわけではありません。
甘い味に慣れすぎる、食品全体の質が悪い、カロリーを他で取りすぎる、ということがあれば、血糖値や体重の改善につながりにくいことがあります。
患者さんには、
「砂糖を減らすための道具として、上手に使いましょう」
とお伝えするのがよいと思います。
朝食の栄養成分表示はここを見ましょう
市販のパン、ヨーグルト、シリアル、グラノーラ、プロテインバー、ロカボ食品を選ぶ時は、パッケージの表の言葉だけで判断しないようにしましょう。
「糖質オフ」
「カロリーオフ」
「ゼロ」
「健康」
「たんぱく質入り」
と書かれていても、実際にどれくらい糖質やカロリーが含まれているかは、裏面の栄養成分表示を見る必要があります。
まず確認するのは、
1個あたり
1袋あたり
100gあたり
のどの表示かです。
そのうえで、糖質が書かれていれば糖質量を見ます。
糖質が書かれていない場合は、炭水化物を糖質量の目安として見てください。
朝食では、主食、果物、ヨーグルト、飲み物の糖質が重なりやすいです。
たとえば、
パン+加糖ヨーグルト+甘いカフェオレ
シリアル+牛乳+バナナ
おにぎり+野菜ジュース
のように、別々に見ると少しずつでも、合計すると糖質が多くなることがあります。
朝食は、単品ではなく、朝ごはん全体の糖質量として考えることが大切です。
コンビニで選ぶならこの組み合わせです
忙しい朝は、コンビニで朝食を買う方も多いと思います。
その場合は、次のような組み合わせがおすすめです。
おにぎり1個+ゆで卵+無糖ヨーグルト
ロカボパン+サラダチキン+無糖コーヒー
ブランパン+チーズ+野菜スープ
豆腐バー+ゆで卵+小さめのおにぎり
無糖ヨーグルト+ナッツ+低糖質パン
反対に、
菓子パン+甘いカフェオレ
おにぎり2個+野菜ジュース
大きなグラノーラ+加糖ヨーグルト
甘いパン+砂糖入りの缶コーヒー
は、糖質に偏りやすいため注意が必要です。
ただし、これも一生食べてはいけないという意味ではありません。
毎日の習慣にしないこと、量と頻度を決めること、血糖値の反応を確認することが大切です。
朝ごはんを食べる時間も大切です
朝ごはんは、内容だけでなく時間も大切です。
朝食の時間が毎日大きくずれると、薬のタイミングや活動量との関係で血糖値が乱れやすくなることがあります。
特に、
インスリンを使っている方
SU薬を使っている方
低血糖を起こしたことがある方
朝の血糖値が高い方
食後高血糖が強い方
は、朝食の内容と時間を主治医や管理栄養士と相談してください。
また、朝食後に少し体を動かすことも、食後血糖の上昇を抑える助けになることがあります。
無理に激しい運動をする必要はありません。
朝食後に少し歩く、家事をする、通勤で階段を使うなど、できる範囲で体を動かすことが大切です。
CGM(フリースタイルリブレ2、デクスコムG7などの持続血糖測定器)を使うと、自分に合う朝食がわかりやすくなります
同じ朝食でも、血糖値の上がり方は人によって違います。
同じパンを食べても大きく上がる方もいれば、あまり上がらない方もいます。
同じご飯の量でも、納豆や卵を一緒に食べると上がり方が変わる方もいます。
CGM、つまり持続血糖測定を使うと、朝食後の血糖値の流れが見えやすくなります。
患者さんによっては、
「パンだけだと上がるけれど、卵を足すとましになる」
「バナナ1本は上がるけれど、半分なら大丈夫」
「朝の甘いカフェオレで血糖値が上がっていた」
「オートミールでも量が多いと上がる」
ということに気づくことがあります。
糖尿病の食事は、一般論だけではなく、自分の血糖値で確かめることも大切です。
こんな方は朝食を自己判断で変えすぎないでください
次のような方は、朝食を大きく変える前に、主治医や管理栄養士に相談してください。
インスリンを使っている方
SU薬を使っている方
低血糖を起こしたことがある方
1型糖尿病の方
妊娠中、妊娠糖尿病の方
腎臓病がある方
高齢で食事量が少ない方
食欲がないのに血糖値が高い方
体重が急に減っている方
摂食障害や強い食事不安がある方
特に、薬を使っている方が急に糖質を大きく減らすと、低血糖が起こることがあります。
また、SGLT2阻害薬を使用中の方では、極端な糖質制限や体調不良時に注意が必要な場合があります。
「健康のため」と思って極端な食事にするより、医療者と相談しながら安全に調整することが大切です。
糖尿病の朝ごはんのまとめ
糖尿病の朝ごはんでは、主食を完全に抜くことよりも、血糖値を上げにくい組み合わせを作ることが大切です。
ポイントは次の通りです。
朝食は糖質だけで終わらせないことが大切です。
主食は量を決め、たんぱく質と食物繊維を組み合わせましょう。
ご飯派は、納豆・卵・魚・味噌汁・野菜を組み合わせましょう。
パン派は、菓子パンを毎日の習慣にせず、卵・チーズ・野菜・ヨーグルトを足しましょう。
果物やヨーグルトは、量と種類を選べば朝食に取り入れられます。
ロカボ食品や低糖質パンは便利ですが、食べ放題ではありません。
人工甘味料は、砂糖を減らすための道具として上手に使うことができます。
インスリンや低血糖を起こす薬を使っている方は、自己判断で朝食を大きく変えず、主治医に相談しましょう。
糖尿病の食事療法は、我慢だけで続けるものではありません。
大切なのは、
血糖値を見ながら、自分に合った続けやすい朝ごはんを見つけること
です。
澤木内科・糖尿病クリニックでは、糖尿病専門医と管理栄養士が、患者さん一人ひとりの生活に合わせた食事療法を一緒に考えています。
朝ごはんで血糖値が上がりやすい方、何を食べればよいかわからない方、CGMを使って自分に合う食事を知りたい方は、自己判断で悩みすぎず、医療機関でご相談ください。
参考文献
日本糖尿病学会 編・著:糖尿病診療ガイドライン2024 第3章 食事療法
American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2026.
澤木内科・糖尿病クリニック:「食べてはダメ」はもう古い!糖尿病の最新食事療法、やってみたくなる5つのコツ

