糖尿病でもおやつは食べていい?市販品を選ぶポイント

糖尿病の治療

こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。

糖尿病の患者さんから、よくこのような質問を受けます。

「糖尿病になったら、おやつは一切食べてはいけませんか?」
「コンビニやスーパーで買えるおやつなら、何を選べばいいですか?」
「ロカボ食品や糖質オフのお菓子は食べてもいいですか?」
「人工甘味料は体に悪いと聞きましたが、大丈夫でしょうか?」

糖尿病と聞くと、
「甘いものは全部禁止」
「おやつは絶対にダメ」
と思ってしまう方も多いです。

しかし、私は患者さんに、必ずしもそのようにはお伝えしていません。

もちろん、血糖値が大きく上がるような食べ方や、毎日のように糖質の多いお菓子をたくさん食べることはおすすめできません。
一方で、糖尿病の食事療法は、長く続けることがとても大切です。

そのため、おやつを完全に禁止するよりも、血糖値に配慮しながら上手に選ぶことが大切だと考えています。

この記事では、糖尿病でもおやつを食べてよいのか、市販品を選ぶ時にどこを見ればよいのか、ロカボ食品や人工甘味料をどう考えればよいのかを、糖尿病専門医の立場からわかりやすく解説します。

糖尿病でもおやつは食べていいのでしょうか?

結論から言うと、糖尿病でも、おやつを絶対に食べてはいけないわけではありません。

ただし、食べ方には工夫が必要です。

糖尿病の食事療法で大切なのは、
血糖値を安定させること
体重を適正に保つこと
血圧や脂質も含めて、合併症を予防すること
無理なく長く続けられること
です。

ADA 2026では、糖尿病の栄養療法について、栄養価の高い食品を適切な量でとる健康的な食事パターンを支援し、個人の好みや生活背景も考慮しながら、食べる楽しみを保つことが目標として示されています。

つまり、糖尿病の食事療法は、
「我慢だけの食事」
ではなく、
「続けられる食事」
であることが大切です。

おやつも同じです。
食べ方を間違えると血糖値や体重に影響しますが、上手に選べば、生活の楽しみを保ちながら血糖管理を続けやすくなります。

おやつを食べる時に一番大切なのは「糖質量」です

糖尿病の方がおやつを選ぶ時、まず見ていただきたいのは、糖質量です。

お菓子やスイーツには、砂糖、小麦粉、でんぷん、果糖などが多く含まれていることがあります。
これらは血糖値を上げる原因になります。

市販品を選ぶ時には、パッケージの栄養成分表示を見て、

炭水化物
糖質
食物繊維

を確認してください。

商品によっては「炭水化物」しか書かれていないことがあります。
その場合、炭水化物の中に糖質と食物繊維が含まれています。
「糖質」が表示されている場合は、より判断しやすくなります。

目安として、まずは 1回のおやつの糖質を10g前後 にできると、血糖値への影響を抑えやすいことがあります。

これは、尊敬している山田悟先生が普及に関わっておられる「ロカボ」の考え方とも近いです。ロカボでは、極端な糖質抜きではなく、1食あたり糖質20〜40g、嗜好品から1日10g、1日70〜130g程度の緩やかな糖質制限を提案されています。

ただし、ここは大切です。

糖質10gなら誰でも必ず大丈夫、という意味ではありません。

血糖値の上がり方は、年齢、体格、薬、インスリン分泌、運動量、食べる時間、食べ合わせによって変わります。
インスリンやSU薬など、低血糖を起こす可能性のある薬を使っている方では、おやつの意味も変わります。

そのため、糖質10gはあくまで市販品を選ぶ時のわかりやすい目安として考えてください。

市販のおやつを選ぶ時の5つのポイント

市販のおやつを選ぶ時は、次の5つを見てください。

1つ目は、糖質量です。
できれば1回量で糖質10g前後、少なくとも「どれくらい糖質が入っているか」を確認しましょう。

2つ目は、食物繊維です。
食物繊維が多い食品は、血糖値の上がり方がゆるやかになることがあります。ADA 2026でも、1食あたり食物繊維3g以上の食品は、一般的に食物繊維が多めの選択肢とされています。

3つ目は、たんぱく質です。
ヨーグルト、チーズ、ナッツ、大豆製品など、たんぱく質を含むおやつは満足感につながりやすいです。

4つ目は、脂質とカロリーです。
糖質が少なくても、脂質やカロリーが多い商品はあります。糖質オフだからといって、たくさん食べてよいわけではありません。

5つ目は、食べる量です。
「低糖質」「糖質オフ」と書かれていても、2個、3個と食べれば糖質もカロリーも増えます。
市販品は、1袋全部ではなく、1回量を決めることが大切です。

おすすめしやすい市販のおやつのタイプ

糖尿病の方に比較的おすすめしやすい市販のおやつには、次のようなものがあります。

無糖ヨーグルト
ギリシャヨーグルト
チーズ
ナッツ類
ゆで卵
高カカオチョコレートを少量
低糖質プリン
低糖質ゼリー
ロカボマークのあるお菓子
糖質量が明記された小分けのお菓子
大豆バー・プロテイン系のお菓子

ただし、ナッツやチーズは糖質が少なくてもカロリーや脂質はあります。
高カカオチョコレートも、食べすぎればカロリーが増えます。

大事なのは、
「これは糖質が少ないから無制限に食べてよい」
ではなく、
「血糖値に配慮しながら、量を決めて楽しむ」
という考え方です。

注意したいおやつ|少量なら楽しめるものもあります

糖尿病の方がおやつを選ぶ時に、注意したいものもあります。

たとえば、

砂糖入りのジュース
甘い缶コーヒー
菓子パン
大きなケーキ
ドーナツ
大福やまんじゅう
砂糖の多いクッキーやビスケット
大きなサイズのアイスクリーム
ドライフルーツ

などは、糖質量が多くなりやすく、血糖値が大きく上がることがあります。

ただし、ここで誤解してほしくないのは、これらを一生食べてはいけないという意味ではありません。

糖尿病の食事療法では、
**「何を食べるか」**だけでなく、
「どれくらい食べるか」
「どのくらいの頻度で食べるか」
「食べた後の血糖値がどうなるか」
が大切です。

たとえば、ケーキを大きく1個食べると血糖値に影響しやすいですが、家族と分けて少量だけ食べる、特別な日に量を決めて楽しむ、食後の血糖値を確認しながら調整する、という方法なら取り入れられる場合もあります。

まんじゅうやクッキー、アイスクリームも同じです。
毎日たくさん食べることはおすすめできませんが、量と頻度を決めて、血糖値や体重に配慮しながら楽しむことは可能です。

特に注意したいのは、甘い飲み物です。
ジュースや甘い缶コーヒーは、噛まずに短時間で飲めてしまうため、血糖値が急に上がりやすくなります。飲む場合も、小さいサイズを選ぶ、毎日の習慣にしない、無糖の飲み物を基本にするなどの工夫が大切です。

おやつは、完全に禁止するとストレスが強くなり、かえって反動で食べすぎてしまうこともあります。

糖尿病だからといって、人生の楽しみをすべて我慢する必要はありません。血糖値に配慮しながら、量・頻度・タイミングを工夫して、上手に楽しむことが大切です。

大切なのは、
「食べてはいけない」と決めつけることではなく、食べ方を決めること
です。

迷った時は、裏面の栄養成分表示を見て、糖質量やカロリーを確認し、1回のおやつは糖質10g前後を一つの目安にしてみましょう。

「ロカボ食品」は使ってもよいですか?

ロカボ食品は、上手に使えば便利です。

ロカボは、糖質をゼロにする考え方ではなく、おいしく楽しく適正糖質を目指す考え方です。
おやつについては、糖質10g程度を目安にする考え方が示されています。

糖尿病の方にとって、
「おやつは絶対にダメ」
と考えるより、
「糖質量を確認して選ぶ」
という方が、長く続きやすいことがあります。

ただし、ロカボ食品にも注意点があります。

糖質が少なくてもカロリーが高いことがある
脂質が多いことがある
食べすぎれば総エネルギーが増える
商品によって糖質量に差がある
血糖値の上がり方には個人差がある

つまり、ロカボ食品は
「食べ放題の食品」
ではなく、
「選び方を助けてくれる食品」
と考えるのがよいです。

人工甘味料は使ってもよいですか?

人工甘味料、つまりカロリーや糖質が少ない甘味料については、反対意見もあります。

患者さんからも、

「人工甘味料は体に悪いのでは?」
「ゼロカロリー飲料は飲まない方がいいですか?」
「血糖値が上がらないなら、たくさん使ってもいいですか?」

と聞かれることがあります。

ここは、極端に考えすぎないことが大切です。

ADA 2026では、非栄養性甘味料、いわゆる人工甘味料は、砂糖入り飲料や砂糖を含む食品の代わりとして、許容一日摂取量を超えない範囲で使うなら選択肢になり得るとされています。また、血糖管理に大きな悪影響を示すものではなく、他の食品でカロリーを埋め合わせなければ、糖質やカロリーを減らす助けになることがあります。

一方で、人工甘味料を使えば何でも健康になるわけではありません。
ADA 2026でも、水を最も健康的な飲み物としてすすめつつ、砂糖入り飲料の代わりとして低カロリー・ゼロカロリー甘味飲料を使うことは選択肢になる、というバランスで書かれています。

ですので、私ならこうお伝えします。

人工甘味料は、敵でも味方でもありません。
砂糖を減らすための道具として、上手に使うものです。

毎日大量にとる必要はありません。
でも、甘いものを完全に我慢してストレスが増え、結局ドカ食いになるくらいなら、人工甘味料を使った低糖質食品を上手に取り入れる方がよい場合もあります。

おやつを食べるおすすめのタイミング

おやつは、食べるタイミングも大切です。

おすすめしやすいのは、
日中の活動量がある時間帯
食後すぐではなく、食事と食事の間
夕食後や寝る直前を避ける
という考え方です。

特に、夜遅いおやつは、血糖値だけでなく、体重や睡眠にも影響することがあります。

ただし、インスリンやSU薬などを使っていて低血糖が起こりやすい方では、補食としてのおやつが必要なこともあります。
この場合は、血糖値、薬の種類、食事量、運動量を考えて、主治医と相談してください。

コンビニやスーパーで買う時の具体的な見方

市販品を買う時は、パッケージの表の宣伝文句だけでなく、裏面の栄養成分表示を見てください。

見る順番は次の通りです。

1. 1個あたりなのか、100gあたりなのか
まず、表示単位を確認します。
100gあたりの糖質量が少なく見えても、1袋全部では多くなることがあります。

2. 糖質量
1回のおやつとして糖質10g前後を一つの目安にします。

3. エネルギー量
糖質が少なくても、カロリーが高い場合があります。

4. 脂質
低糖質お菓子は、脂質が多めの商品もあります。

5. 食物繊維・たんぱく質
食物繊維やたんぱく質があると、満足感につながりやすいです。

この見方を覚えると、コンビニやスーパーでもかなり選びやすくなります。

市販のおやつを選ぶ時は「表の言葉」より「裏面の表示」を見ましょう

市販のおやつを選ぶ時は、パッケージの表に書かれた
「糖類ゼロ」
「糖質ゼロ」
「カロリーゼロ」
という言葉だけで判断しないようにしましょう。

これらの表示は参考になりますが、実際にどれくらい糖質やカロリーが含まれているかは、裏面の栄養成分表示を確認することが大切です。

まず確認していただきたいのは、表示が

1個あたり
1袋あたり
100gあたり

のどれで書かれているかです。

たとえば、100gあたりでは糖質が少なく見えても、1袋全部を食べると糖質やカロリーが多くなることがあります。

そのうえで、「糖質」が書かれていれば糖質量を確認します。
糖尿病の方のおやつでは、まずは1回のおやつで糖質10g前後
を一つの目安にすると選びやすくなります。

糖質が書かれていない場合は、「炭水化物」を糖質量の目安として見てください。
炭水化物には糖質と食物繊維が含まれますが、糖質表示がない場合には、血糖値への影響を考えるうえで炭水化物量を参考にします。

また、糖質が少なくても、カロリーや脂質が多い商品もあります。
「低糖質だから大丈夫」と考えて食べすぎると、体重増加や脂質のとりすぎにつながることがあります。

大切なのは、
“ゼロ”という言葉だけで安心しないこと
裏面の栄養成分表示を見ること
1回に食べる量を決めること
です。

おやつは完全に禁止するのではなく、表示を見ながら、血糖値と体重に配慮して上手に楽しみましょう。

果物はおやつにしてもいいですか?

果物は、ビタミン、ミネラル、食物繊維を含みます。
一方で、果糖を含むため、食べる量によっては血糖値に影響します。

果物を食べる場合は、

ジュースではなく、果物そのものを選ぶ
ドライフルーツは少量にする
一度にたくさん食べない
夜遅くにまとめて食べない
血糖値が上がりやすい方は量を調整する

ことが大切です。

特に果汁100%ジュースは、健康的に見えても糖質を短時間でとりやすいため注意が必要です。

ナッツは糖尿病のおやつに向いていますか?

ナッツは、糖質が比較的少なく、食物繊維や脂質、たんぱく質を含むため、糖尿病の方のおやつとして選ばれることがあります。

ただし、ナッツはカロリーが高いです。

おすすめは、
素焼き
無塩
小袋タイプ
を選ぶことです。

大袋をそのまま食べると、気づかないうちにカロリーが増えます。
片手に軽く乗るくらい、または小袋1袋など、量を決めて食べましょう。

チョコレートは食べてもいいですか?

チョコレートも、種類と量を選べば楽しむことはできます。

選ぶなら、
高カカオチョコレートを少量
糖質量が表示された低糖質チョコ
小分けになっているもの
がよいです。

ただし、高カカオチョコレートも脂質とカロリーはあります。
また、苦味があるから血糖値にまったく影響しない、というわけではありません。

1〜2枚程度を、量を決めて食べる
という考え方が現実的です。

アイスクリームは食べてもいいですか?

アイスクリームは、糖質と脂質の両方が多い商品があります。
そのため、毎日大きなカップを食べるのはおすすめしにくいです。

選ぶなら、

小さいサイズ
糖質量が表示されているもの
低糖質タイプ
食べる頻度を決める
ことが大切です。

「低糖質アイス」でも、食べすぎればカロリーが増えます。
また、冷たいものは食べやすく、満腹感を感じる前に食べ終わりやすいので注意しましょう。

おやつで血糖値が上がるか知りたい時は

おやつを食べた後に血糖値がどれくらい上がるかは、人によって違います。

可能であれば、血糖自己測定やCGMを使っている方は、

食べる前
食後1時間
食後2時間

の血糖変化を見ると、自分に合うおやつがわかりやすくなります。

同じ糖質量でも、
単独で食べるか
食後に食べるか
運動前後か
脂質やたんぱく質が多いか
で、血糖値の上がり方は変わります。

糖尿病治療は、一般論だけでなく、自分の血糖値で確認することも大切です。

おやつを食べる時に気をつけたい方

次のような方は、おやつの選び方を主治医や管理栄養士と相談してください。

HbA1cが高く、血糖コントロールが不安定な方
食後高血糖が強い方
インスリンを使っている方
SU薬を使っている方
低血糖がある方
腎臓病がある方
脂質異常症がある方
肥満症治療中の方
妊娠中、妊娠糖尿病の方
摂食障害や強い食事不安がある方

糖尿病の食事は、全員に同じ答えがあるわけではありません。
薬や合併症、生活スタイルによって、適したおやつは変わります。

糖尿病でもおやつを楽しむためのまとめ

糖尿病でも、おやつを絶対に禁止する必要はありません。

大切なのは、何を、どれくらい、いつ食べるかです。

ポイントをまとめます。

おやつは完全禁止ではなく、上手に選ぶことが大切です。
まずは糖質量を確認し、1回糖質10g前後を目安にすると選びやすくなります。
ロカボ食品は便利ですが、食べ放題ではありません。
人工甘味料は、砂糖を減らすための道具として適量なら活用できます。
糖質オフでも、脂質・カロリー・食べる量には注意が必要です。
インスリンや低血糖を起こす薬を使っている方は、主治医と相談してください。

糖尿病の食事療法は、短期間だけ頑張るものではなく、長く続けるものです。

おやつを完全に我慢してストレスが増え、反動で食べすぎてしまうより、
市販品の表示を見ながら、血糖値に配慮して楽しむ
方が、現実的で続けやすいことがあります。

澤木内科・糖尿病クリニックでは、糖尿病専門医と管理栄養士が、患者さんの生活に合わせた食事療法を一緒に考えています。

おやつをどう選べばよいかわからない方、血糖値が上がりやすくて困っている方、低糖質食品や人工甘味料の使い方に不安がある方は、自己判断で悩みすぎず、医療機関で相談してください。

参考文献

日本糖尿病学会 編・著:糖尿病診療ガイドライン2024 3章 食事療法
American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2026.
一般社団法人 食・楽・健康協会:ロカボ公式サイト