こんにちは。澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。
腕に小さなセンサーを貼って、血糖値の動きを24時間見ることができる「CGM(持続血糖測定)」。これまでは、主にインスリンを使っている方の治療で使われてきました。
2026年10月、医学誌「New England Journal of Medicine」に、インスリンを使っていない2型糖尿病の方がCGMを使うと、血糖値がどう変わるかを調べた臨床試験が発表されました。このページでは、その結果と、日本での使い方をご紹介します。

「飲み薬だけだから、CGMは関係ない」と思っている方にも、知っていただきたい研究です。ただし、海外の研究なので、日本での使い方も一緒にお伝えしますね。
CGM(持続血糖測定)とは
CGMは、腕などに小さなセンサーを貼り、皮下の組織液のブドウ糖の濃度を連続して測る機器です。指先に針を刺して測る血糖測定では、測ったときの1点の値しかわかりませんが、CGMでは、食後に血糖値がどのくらい上がり、どのくらいで下がるのかといった、1日の血糖値の流れがわかります。
CGMには、高血糖や低血糖を知らせる機能をもつものが多く、機種や表示に使う端末によって、値が自動で表示されるものと、センサーを読み取って確認するものがあります。リブレ2でも、対応するスマートフォンアプリで自動表示できます。
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どんな研究?(CONNECT試験)
| 実施場所 | 米国の一般診療所(プライマリケア)22施設 |
|---|---|
| 対象 | 試験開始時にインスリンを使っておらず、HbA1cが7.5%以上だった成人の2型糖尿病の方283人 |
| 比べた方法 | CGM(デクスコムG7)の値を日々見ながら治療する群145人と、通常の診療を受ける群138人 |
| 期間 | 26週間(約6か月) |
| 主な評価 | 26週後のHbA1c |
どちらの群も、食事と運動についての説明を受け、必要に応じて薬を変更できました。通常診療群でも、研究の評価用に、値が表示されないセンサーを一定期間装着しました。また、両群とも同じ日程で、遠隔診察を4回、対面診察を2回受けました。
わかったこと
| CGM群 | 通常診療群 | |
|---|---|---|
| HbA1c(開始時→26週後) | 8.8% → 7.2% | 8.7% → 8.0% |
| 目標範囲(70〜180mg/dL)に入っていた時間の割合(開始時→13週・26週の測定をまとめた値) | 29% → 62% | 31% → 42% |
- HbA1c:26週後のHbA1cは、開始時の値などを考慮すると、CGM群で平均0.9ポイント低くなりました。
- 目標範囲内の時間:通常診療群と比べて平均21ポイント長く、1日あたり約5時間に相当しました。
- 低血糖:この26週間では、低血糖の時間が通常診療群より増えることはなく、重い低血糖は両群とも報告されませんでした。
- 開始時のHbA1c別では:参加者を開始時のHbA1c別に分けてみると、HbA1cが高いグループほど、CGM群と通常診療群の差が大きい傾向がありました。ただし、これは参考として行った解析です。
- 気持ちの面:参考として行った質問票調査では、通常診療群と比べて、CGM群の回答者は、血糖を測る負担を軽く感じ、測定に価値を感じる傾向がありました。
試験中にインスリンなどの薬が追加された方は、CGM群で31%、通常診療群で17%でした。研究者は、薬の追加に加えて、血糖の動きを見ながら日々の行動を変えたことも関わった可能性があると考えています。どの行動がどの程度役立ったかは、この試験ではわかりません。
知っておいていただきたい注意点
米国・欧州の提言では
米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)が2026年に発表した2型糖尿病の治療の提言では、2型糖尿病、とくにインスリン治療中の方で、CGMの活用を検討するとしています。
これまでの試験では、血糖の指標への効果は全体として控えめで、期間の短い小規模な試験が多いとされています。一方で、満足度などの改善も多く報告されており、必要に応じて一定期間CGMを使うことも支持されています。今回のCONNECT試験は、インスリンを使っていない方について、新しい根拠を加える研究といえます。
▶関連記事:2型糖尿病の治療はどう変わる?米国・欧州の最新コンセンサス2026を専門医が解説
日本では、どうやって使える?
インスリンを使っていない2型糖尿病の方が、ご自宅で日常的にCGMを使う場合、センサー代は原則として保険給付の対象外です(2026年11月時点)。ただし、次のような方法があります。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 選定療養(通常の保険診療と併用) | 2024年から始まった仕組みです。通常の診察は保険診療として受けながら、センサーなどの特別料金は、ご自身で全額負担します。料金は医療機関ごとに定められ、院内やウェブサイトに掲示されています。利用前に説明を受け、ご自身で選んでいただきます。使える機種は、医療機関によって異なります。 |
| 自由診療 | 保険を使わずに、CGMを含む診療全体を全額自己負担で受ける方法です。 |
| 条件を満たした場合の保険の検査 | 重い低血糖を繰り返すなど、一定の条件を満たす方では、届出のある医療機関で、短期間の検査が保険の対象になることがあります。「食後の血糖値を知りたい」「1〜2週間だけ試したい」という目的だけでは、保険の対象にはなりません。 |
CGMを、毎日の生活に生かすには
CGMは、着けるだけで血糖値が下がる機器ではありません。血糖値の動きを見て、生活を少し変えてみることで、はじめて役に立ちます。たとえば、次のような使い方があります。
- 食後の血糖値を見る:どの食事で血糖値が大きく上がるかがわかります。
- 食べる順番を変えてみる:野菜やおかずを先に、主食をあとにすると、食後の上がり方が変わるかを確かめられます。
- 食後に少し歩いてみる:運動の効果を、数値で確かめられます。
- 季節による変化に気づく:冬に血糖値が上がりやすい方は、早めに気づいて対策できます。
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当院でのCGMのご相談について
当院では、目的と対象に応じて、次の方法でCGMをご案内しています。
| 方法 | 対象となる方 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| 選定療養 | 糖尿病と診断されていて、インスリン製剤を使っていない方 | 当院での糖尿病の保険診療の自己負担に加えて、機器の特別料金を全額ご負担いただきます。 |
| 自由診療(CGMドッグ外来・平日限定) | 糖尿病と診断されていない方で、ご自身の血糖値の動きを知りたい方 | 初診で、糖尿病などの病気がないかを保険診療で確認します。糖尿病ではないことを確認したうえで、2回目以降(センサーの装着と結果の説明)を、診察料も含めて全額自己負担でおこないます。初診で糖尿病と診断された場合は、自由診療ではなく、糖尿病の診療としてご案内します。 |
| 保険の検査 | 重い低血糖を繰り返すなど、保険の条件を満たす方 | 保険の条件を満たす場合、当院で短期間の検査として実施します(当院は届出済みです)。 |
機器の費用(選定療養・自由診療で共通、税込)
- フリースタイルリブレ2:センサー(最長14日間)7,500円、専用リーダー 8,000円
- デクスコムG7:センサー(最長10日間)5,000円、専用モニター 8,000円
- 対応するスマートフォンをお持ちの方は、センサーだけで血糖値を確認できます(専用リーダー・モニターは不要です)。
自由診療(CGMドッグ外来)の標準的な費用の例
- 初診(保険診療)のあと、2回目(センサー装着)・3回目(結果の説明)の自費の診察料が各回3,170円(税込)かかります。
- センサー1個を使い、専用リーダー・モニターを使わない場合の自費の合計:フリースタイルリブレ2で13,840円、デクスコムG7で11,340円(いずれも税込。初診の保険診療の自己負担は別です)
- 専用リーダー・モニター(各8,000円)、管理栄養士による食事のアドバイス(15分まで3,000円、予約状況により)は、希望される方のみ追加になります。
どの方法でも、機器をお渡しして終わりではなく、得られた血糖値の動きを、食事や運動、薬などと合わせて一緒に振り返ります。ご予約・お問い合わせは、公式サイトのWEB予約またはお電話でお受けしています。
▶選定療養の対象と料金(公式サイト)
▶糖尿病と診断されていない方の自費のCGM(公式サイト)
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まとめ
- 米国の臨床試験で、試験開始時にインスリンを使っておらず、HbA1cが7.5%以上だった2型糖尿病の方がCGMの値を見ながら治療すると、26週後のHbA1cが、通常診療の方より平均0.9ポイント低くなりました(開始時の値などを考慮)。
- 目標範囲内の時間は1日あたり約5時間長く、この期間に低血糖は増えませんでした。
- メーカーが資金を出した26週間の研究で、手厚い支援があったことも知っておく必要があります。
- 日本では、インスリンを使っていない方がCGMを日常的に使う場合、センサー代は原則として保険の対象外ですが、選定療養や自由診療で使う方法があります。
- CGMは、血糖値の動きを見て、食事や運動を工夫するための道具です。

血糖値の動きが「見える」と、食事や運動の工夫の手ごたえを感じやすくなります。どの方法が合うか、診察でお気軽にご相談ください。
【参考文献】
Oser TK, Martens T, Ruedy KJ, et al. Continuous Glucose Monitoring in Non–Insulin-Treated Type 2 Diabetes. N Engl J Med 2026 (published October 14, 2026). https://doi.org/10.1056/NEJMoa2608571
Davies MJ, Aroda VR, Bajaj M, et al. Management of Type 2 Diabetes, 2026. A Consensus Report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD). Diabetes Care 2026;49. https://doi.org/10.2337/dci26-0141
▶澤木内科・糖尿病クリニック公式サイト(1型糖尿病・CGM・インスリンポンプの診療をおこなっています)

