こんにちは。
澤木内科・糖尿病クリニック院長の澤木秀明です。

「1型糖尿病と診断されました。
これから何をどうすればいいのか、頭が真っ白です。」
診断されたばかりの患者さんから、そうしたお気持ちを何度もお聞きしてきました。
突然たくさんのことを覚えなければいけないように感じて、不安でいっぱいになるのは当然のことです。

このページでは、診断された直後の方に向けて、診断からインスリン治療が始まるまでの流れと、これから取り組んでいただくことの「順番」を整理してお伝えします。
いきなり多くのことを学ばなければいけませんが、一度に全部を覚える必要はありません。取り組み方の順番を整理して、一つずつ進めていきましょう。
まず知ってほしい3つのこと

はじめに、いちばん大切なことを3つお伝えします。
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どのように診断されるのか|検査から治療開始までの流れ

1型糖尿病は、多くの場合、次のような流れで診断され、治療が始まります。
① 採血で高血糖とHbA1cの高値がわかる
まず採血をおこない、血糖値が高いこと、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が高いことが判明します。比較的お若い方や、やせ型の方に見つかることも少なくありません。のどの渇き、水分をたくさん飲む、体のだるさ、体重が減るといった高血糖の症状をきっかけに受診される方もいらっしゃいます。
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② GAD抗体・Cペプチドの検査で「インスリン依存状態」がわかる
さらに詳しい採血の結果、GAD抗体という自己抗体が陽性であったり、Cペプチドという検査値からご自身のインスリン分泌が低下していることがわかり、「インスリンが足りない状態(インスリン依存状態)」であると判断されると、1型糖尿病と診断されます。

1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のβ細胞がこわれてしまい、自分でインスリンを作ることができなくなる病気です。なお、数年かけてゆっくりインスリンが作られなくなっていく「緩徐進行1型糖尿病」というタイプもあります。
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③ インスリン治療のご提案
高血糖がわかった時点で、その程度にもよりますが、インスリン治療をご提案することが多いです。足りなくなったインスリンを補うための「インスリン補充療法」、そして高血糖を是正するためのインスリン療法です。
このとき、尿検査でケトン体(尿ケトン)が出ているかどうかも参考になります。尿ケトンが強陽性(3+)であったりすると、ご自身の体からのインスリン分泌(内因性インスリン分泌)が著しく低下していることが想像され、直ちにインスリン注射を始める指標になります。
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④ 血糖測定の方法を身につける
インスリン療法を安全におこなうためには、血糖値を自分で確認できることが欠かせません。

血糖値を知る方法には、指先から少量の血液で測る自己血糖測定(SMBG)と、腕などにセンサーを装着して血糖の変動を続けて確認できる持続血糖測定(CGM)があります。CGMには、フリースタイルリブレ2やデクスコムG7といった機器があります。どの方法が合うかは、診察のなかでご相談しながら決めていきます。
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取り組み方の順番|4つのステップ

1型糖尿病に対する知識や取り組み方は、次の順番で段階的に理解を深めていくことをおすすめしています。
ステップ1|1型糖尿病という病気を理解する
まず、病気そのものへの理解です。

- 1型糖尿病は、インスリンが出ない(出なくなっていく)病気であり、生きていくためにはインスリンを補うこと(インスリン補充療法)が必須であるということ
- そのために現在できる治療としては、注射(またはインスリンポンプ)でインスリンを補うしかないということ
インスリンは、生きていくために必須のホルモンです。1型糖尿病の治療の原則は、複数のインスリン製剤を生活に合わせて組み合わせる「強化インスリン療法」です。健康な人の膵臓は、24時間ずっと少しずつダラダラと出ているインスリン(基礎分泌)と、食事のあとに出るインスリン(追加分泌)の2種類の出し方をしており、この自然なパターンに合わせてインスリンを補っていきます。
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実際の注射では、この出方に合わせて、基礎分泌を補うために1日1回打つインスリン(基礎インスリンの補充)と、食事の前に打つ超速効型インスリンという、2種類のインスリンを使い分けることが基本になります。
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なお、ペン型のインスリン注射よりもさらに進化した形としてインスリンポンプがありますが、まずはペン型によるインスリン注射の指導から入ることが多いです。
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ステップ2|日常生活の基本的な注意点を守る
診断された直後は血糖値がとても高い状態のことが多く、入院をおすすめする場合もあります。外来で治療を始める場合も含めて、最初の時期に守っていただきたいことは、実はとてもシンプルです。

高血糖のときは喉が渇きやすく、そこで甘い飲み物を飲むとさらに血糖値が上がる悪循環になってしまうためです。
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ステップ3|最初の目標:血糖値70〜180mg/dLへ「ゆっくり」
最初の1〜2ヶ月の外来・指導を通じての目標は、血糖値が70〜180mg/dLの範囲に収まる時間帯を、少しずつ増やしていくことです。

ここで大切なのは「ゆっくり」という点です。高かった血糖値を急いで下げようとはしません。急激に下げると血糖降下症状や低血糖が起こりやすくなり、体もつらくなるためです。焦らず、段階的に整えていきますので、安心してついてきてください。
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ステップ4|具体的な手技を段階的に身につける
最初の数週間で、次の3つを順番に身につけていきます。外来で看護師・スタッフと一緒に練習しますので、最初から一人で完璧にできる必要はありません。
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これから3ヶ月のロードマップ

当院では、次のような順番で少しずつ身につけていただくことをおすすめしています。
1ヶ月目|安全を確保する
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2ヶ月目|日常生活に組み込む
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3ヶ月目|自分に合わせて調整する
医療費の助成制度には、インスリン治療の開始から一定期間が経過してから対象になるものもあります。治療に慣れてきた頃に、次の記事を参考に、外来でもご相談ください。
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それぞれのテーマについて、このブログで記事を順番にご用意していきます。3ヶ月で「一通り触れる」ことがゴールであり、完璧にできるようになる必要はありません。カーボカウントの精度や運動時の調整などは、1年ほどかけて、外来で相談しながら少しずつ上達していくものです。
一人で抱え込まないでください

インスリンの量やタイミング、食事や運動のこと、体調が悪い日の対応など、迷ったときに自己判断で決める必要はありません。特に、通常どおりの食事ができないときや、運動、病気のときの対応は、あらかじめ担当医と打ち合わせておくことが大事です。

分からないこと、不安なことがあれば、どんな小さなことでも、外来で遠慮なくお声がけください。当院のスタッフ全員で伴走します。
▶澤木内科・糖尿病クリニック公式サイト(1型糖尿病・CGM・インスリンポンプの診療をおこなっています)
まとめ
- 1型糖尿病は生活習慣が根本の原因ではなく、インスリンを補えば糖尿病のない人と同じような生活を送れます
- 診断は「採血で高血糖・HbA1c高値→GAD抗体・Cペプチドの確認→インスリン依存状態の判断」という流れで進みます
- 取り組む順番は4つのステップ:①病気を理解する ②日常生活の基本を守る(確実な注射・ジュースをやめてお茶や水) ③血糖値70〜180mg/dLへゆっくり ④注射部位・ペン・血糖測定の手技を身につける
- 3ヶ月で一通り、習熟は1年かけて。焦らず一つずつ進めていきましょう
▶このブログのほかの記事:糖尿病専門医が教える糖尿病の症状と予防(澤木内科・糖尿病クリニックのブログ)
【参考】日本糖尿病学会 編・著「糖尿病治療の手びき2026(改訂第59版)」
※このページは一般的な情報提供を目的としています。治療の内容は患者さんお一人おひとりで異なりますので、必ず主治医の指示に従ってください。

